「終活」という考え方自体は、本コラムにおいて何度も登場している。しかし依然として、その暗いイメージを払拭するのに、十分な話題を提供できていないように感じる。
終活カフェ「ブルーオーシャンカフェ」の終活は一味ちがう!
「終活」という文字は否応がなく「死」を連想させ、また要らなくなったものを整理・処分していく活動からは、まるで自分から「生」の部分をどんどん切り取って、果ては孤独に通ずる道を想起させる。
しかし終活における身の回りの整理・処分は人生の終末を快く、また悔いのないように迎え入れる分水嶺的行為である。
そこで今回は、従来の終活イメージを根本から打破し、終活本来の意義を再認識するために、とある1つのカフェ「ブルーオーシャンカフェ」を紹介する。
東京都江東区にあり、東京メトロ半蔵門線住吉駅から程近い「ブルーオーシャンカフェ」は、“訪れる人が誰でも輝ける場所に”をイメージとして掲げ、都内初の「生き方」「逝き方」「活き方」を考えるコミュニティカフェとしての役割を担っている。
このカフェには終活を具体的に考えながらも、絶えずその明るさ楽しさを忘れないコンテンツが多数用意されている。個人的に「これは!」と思うコンテンツをいくつか紹介したい。
相続や葬儀、埋葬、遺影撮影など豊富なセミナー・イベントが毎月多数開催!
1つは、相続問題から葬儀、埋葬にわたる多種多様なセミナー・イベントである。
毎月講師をお呼びして、普段はネットや活字の上でしか見ない終活にまつわる内容を考える催しが行われている。
過去には、実際に棺に入ることのできる体験会や、家族葬の模擬葬儀などが開催された。6月には、実際に海に出る「海洋散骨体験クルーズ」などが予定されている。
私見ではあるが、これらセミナー・イベントの意義は、「百聞は一見に如かず」という諺に収束すると思う。漠然とした終活イメージから脱却することは、実際に話を聞いたり、体験したりしたからこそわかる、終活の前向きなイメージを醸造するのに非常に役に立つ。
月に一度の坊主Barイベントも有り!
もう1つは、坊主Barである。
明るい坊主Barとは月に一度、実際の僧侶の方にお越しいただき、普段なかなか話すことのできない些細な疑問から、真剣な悩みまで受け止めてもらうことのできる企画である。
本コラムでも、港区の一般解放された寺院ラウンジや、都内でできる写経体験を紹介してきたが、坊主Barはよりお坊さんとの距離を近くして話すことのできる貴重な場であると考える。また、「極楽浄土」というおしゃれなカクテルも提供されており、堅苦しい終活イメージを覆すカジュアルな空間にもなっている。
終活カウンセラーが常駐!
以上、私の独断ではあるが、ブルーオーシャンカフェのおすすめコンテンツを紹介した。
この他にも、スタッフのほとんどが終活カウンセラーをはじめとした資格を取得している一方で、薬膳メニューなどカフェとしての側面も忘れないお店の雰囲気は、専門性を保持しながらも、敷居の低い終活カフェとも形容できよう。つまり、誰もがそこに集い、個々が持ち寄った終活の悩みを打ち明け、解決へ近づき、憩うことのできる空間である。
ブルーオーシャンカフェは、都内初の終活コミュニティカフェとしての責任の重さをものともせず、私たちに新たな終活のイメージを届けている。その姿や機能は、今後都内に広がるであろう終活カフェの原型となり、また終活における重要なハブとなる期待が寄せられている。
最後ではありますが、本コラム執筆にあたって、取材許可をいただき、内容に関して鋭いご指摘をいただいた株式会社ハウスボートクラブ代表取締役村田ますみ様には、この場を借りて御礼申し上げます。