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「春を意味する季語 春愁」ーー春にざわつく心 ストレス多き春

俳人・水原秋櫻子(みずはらしゅうおうし、1892〜1981)が晩年に詠んだ句がある。

「春愁の黒髪丈にあまりけり(1973年)」

これは、弟子の倉橋羊村(ようそん、1931〜2020)から「甘美な青春性の謳歌」と評された、以下の句から40年以上経ったものだ。

「春愁のかぎりを躑躅(つつじ)燃えにけり(1930年)」

同じ「春愁」(参照記事)でも、随分と印象が異なる。

生涯に渡って、女性への恋情や愛情を句にしなかったという秋櫻子だが、丈にあまる黒髪の持ち主は、一体誰なのか?具体的な人物か。平安絵巻に描かれた、6尺(約181.8cm)にも及んだといわれる女性たちの「たおやかさ」を表したのか。それとも、「散髪に行かずにいる」自分自身を指しているのか。それについて少し、考えてみたい。

「春を意味する季語 春愁」ーー春にざわつく心 ストレス多き春

松尾芭蕉と弟子の河合曾良による句

俳聖・松尾芭蕉(1644〜1694)の『奥の細道』(1702年)に登場する、弟子の河合曾良(そら、1649〜1710)が元禄2(1689)年に詠んだとされる句がある。

「剃り捨てて黒髪山に衣更(ころもがえ)」

実はこれは芭蕉の手によるものなのだが、『奥の細道』の「演出上」、曾良作にしたという説もある。その真偽はともかく、歌意は「芭蕉と共に出立するのに際し、髪を全て剃り落とした。そして僧侶が纏う墨染の衣に着替え、旅を続けてきた。今日はおりしも衣替えの4月1日。このような日を、下野国(現・栃木県)日光の黒髪山(くろかみやま)こと男体山(なんたいさん)で迎えることになるとは、何とも感慨深い」だ。

春の物憂い日に秋櫻子は、旅立ちからまだ日が浅いがゆえの高揚感に満ちた曾良または芭蕉の句とは全く対照的な、「だらしなく伸びた黒髪」、「物憂さゆえに旅行に出ることはもちろんのこと、衣替えする気力さえもない」自分自身または、「憂いに満ちた人々」を詠んだのかもしれない。しかも彼にそう「詠ませた」のは、「医学者」でもあった彼の医学的見識による、極めて理性的なものだったとも、考えられる。

連休明けに増える退職代行への問い合わせ

令和6(2023)年のゴールデンウィークは4月27日土曜日から3連休、5月3日金曜日から4連休だった。人によっては、最大10連休にも及んでいた。この間の、全国の高速道路の代表40区間の交通状況だが、1日の平均交通量は41500台。昨年の同時期と比べ、101%増加した。また、日本の航空会社、JAL、ANAの国内・国際線ともに、去年よりも利用者数は多かったが、コロナ前の平成30(2018)年には及ばなかったという。それは昨今の円安、国内の物価高が影を落とし、全般的に「節約志向」が強かったからではないか、と推測されている。

とはいえ「連休明け」は誰でも、「気が重い」。それゆえ極端な場合、「自殺」する人が少なくない。しかし最近よく耳にする「退職代行サービス会社」に、何と連休明けから100件以上の依頼が舞い込んだという。

その場から離れてみるのも悪いことではない

「もうダメだ!」と思った時に、「命を絶つ」ではなく、「逃げる」のは確かに「いい方法」だろう。しかしそもそも、「逃げたい場所」に身を置いたのは、そこに向けて数ヶ月前〜数年前に、先に挙げた「剃り捨てて…」の句のように、意気揚々と「出立」した「自分」だったことを、忘れてはならない。もちろん、自分の「選択」が「間違い」だったり、予期せぬトラブルに巻き込まれてしまった場合もある。だからこそ「逃げる」ことは必ずしも「悪いこと」ではなく、むしろ新たな「出立」とも言える。

いずれにせよ、禅僧の南直哉(みなみじきさい、1958〜)は、『「前向きに生きる」ことに疲れたら読む本』(2022年)の中で、仕事を辞めるべきか辞めざるべきか、悩んでいるのであれば、「決断の結果どう転んでもいいと覚悟を決めておいたほうがいい」、「どちらを選んでもつらいと思っておけば、大して後悔することもない」と悩める人々に勧めている。

埼玉県草加市にある札場河岸公園で行われるあるイベント

ゴールデンウィークの狂騒、そしてそれが「終わった」一抹の寂しさや脱力感の後、我々はごく「当たり前」の日常に戻る。そんな折、毎年5月16日に、埼玉県草加(そうか)市神明(しんめい)2丁目にある札場河岸(ふだばかし)公園で、あるイベントが催されている。1689年の同日(旧暦3月27日)に、松尾芭蕉が江戸を出立し、現在の草加市を訪れたことにちなんで、公園内に立てられている「松尾芭蕉翁像」の「お身拭(みぬぐ)い」が行われるのだ。「お身拭い」とは、全国の著名なお寺に安置されている仏像・祖師像などを「お清め」する仏事のことだが、「ここ」に関して言えば、単に銅像の「汚れ取り」のみならず、『奥の細道』であれば、芭蕉や曾良は、およそ600里(約2400km)を徒歩で移動したと想定されていることから、長旅の疲れを癒して欲しいという、地域の人々の思いも込められている儀式と言えるだろう。また、「時期」を考えれば、芭蕉像に自分自身の「春愁」、または昨今の言葉で言えば「五月病」、すなわち、物憂さや「何となく」力の入らない自身の肉体を託し、「清め祓ってもらう」ために、ある種大切な儀式とも言えるかもしれない。

出立と出発の違い

余談だが、今回、芭蕉や曾良の「旅立ち」に関し、「出発(しゅっぱつ)」ではなく、「出立(しゅったつ・いでたつ・でたつ)」という言葉を用いた。「出発」は、中国語を専門とする言語学者の伊原大策(1951〜)によると、明治2(1869)年の『漢語字類』、同4(1871)年の『布令字弁』第5篇という2冊の辞書に現れたもので、江戸期には見られなかった言葉だった。それまでは長らく、「出立」の語が用いられていたという。明治という「新しい時代」だったからこそ、旧来の「出立」よりも、新語の「出発」の方が、「始まり」「旅立ち」を表すにふさわしいと、当時の人々が考えたのだろうか。

昨今の「退職代行」という「新しい形のサービス業」の急成長ではないが、今後もしかしたら、また更に新しい「始まり」「旅立ち」を意味する言葉が生み出されるかもしれない。

終わりじゃない。繋げるのだ。

105歳まで生きた、世間に広く知られた医師・日野原重明(1911〜2017)が98歳の時に、日野原同様に著名な心理学者・多湖輝(たごあきら、1926〜2016)と著した『長生きすりゃいいってもんじゃない』(2010年)の中で、日野原は「自分が死んでも死なない方法」を記した。「医者」の日野原だからといって、何か特別な超最先端医療または薬について述べているわけではない。流浪の俳人・種田山頭火(たねださんとうか、1882〜1940)の辞世の句をあげた。

「いつ死ぬる木の実は播いておく」

そしてそれを、「自分の生を越えて育つ『木』を残しておこうとする、まさに山頭火の死生観を表わした、句作の原点とも言える作品」と評した。また、「自分の死を越えて生き続ける草や木に対する思いを自らの分身である句に託した山頭火は、まさに生きている間を通して、その瞬間、瞬間の生を充実させた人生を送ったのだと思います」とも述べていた。更に、「命が自分だけのものだと思うから死があります。命はリレーであり、他の生きるものに伝える、つなげるものだと思うと人間は永遠に生き続けることができます」と締めくくった。

最後に

自分が「死んで」も、それで「終わり」ではない。自分が生きた「痕跡」を残す。その「痕跡」は、必ずしも「子孫」を残すことばかりではない。或いは何か財産や名声、社会的功績を「残す」ことだけではない。「あの人」が「言っていた」「書いていた」「描いていた」…ことが、自分以外の「誰か」の記憶に「残る」こと。それによって、「あの人」の命が尽きても、「終わり」ではない。「誰か」が別の「誰か」に「あの人」の話をする、書き留める、絵やイラストに描く…ことで、「生き続ける」のだ。我々は山頭火や芭蕉、曾良はもちろんのこと、日野原たちを含んだ「偉人たち」のように「死んでも死なない」。そして「退職代行サービス」などを使って、「その場」から逃げ去ったにしても、最終的には「逃げても逃げない」、時に図太い人間でありたいものだ。

参考資料

■楠本憲吉「水原秋桜子」小田切進(編)『日本近代文学大事典』1977年(290-292頁)講談社
■伊原大策「新漢語「出発」の誕生 −清末(明治初期)における日中語彙交流の一側面−」『東北大学中国語学文学論集』第10号 2005年(113-132頁)
■小野恵美子『水原秋櫻子全句集索引』2005年 安楽城出版
■角川学芸出版(編)『角川俳句大歳時記 春』2006年 角川書店
■倉橋羊村『水原秋櫻子に聞く』2007年 本阿弥書店
■日野原重明・多湖輝『長生きすりゃいいってもんじゃない』2010年 幻冬舎
■諸富祥彦『「すべて投げ出してしまいたい」と思ったら読む本』2016年 朝日新聞出版
■新村出(編)『広辞苑』第7版 1955/1969/1976/1983/1991/1998/2008/2018年 岩波書店
■谷釜尋徳「松尾芭蕉の歩行能力の検証:『曾良旅日記』の分析を中心として」『体育学研究』第66号 2021年(607-622頁)一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
■「松尾芭蕉翁像のお身拭い」『草加市』2021年12月7日 
■南直哉『「前向きに生きる」ことに疲れたら読む本』2022年 アスコム
■「【河合曾良の有名俳句 20選】松尾芭蕉の弟子!! 俳句の特徴や人柄・代表作など徹底解説!」『俳句の教科書』2022年2月10日
■『俳句でつかう季語の花図鑑』編集委員会(編)『俳句でつかう季語の花図鑑』2023年 山川出版社
■天理大学附属天理図書館(編)『天理ギャラリー第181回展 北村季吟 生誕四百年によせて 芭蕉の根源』2024年 学校法人天理大学出版部
■「GWの旅客数、コロナ前届かず 円安・物価高で節約意識」『日本経済新聞』2024年5月7日 
■「退職代行サービス、GW明け依頼殺到 わずか1日で驚異的な予約数…ネット賛否『この国どうなるんだ』」『Sponichi Annex』2024年5月7日
■「2024年度 ゴールデンウィーク期間のご利用状況PDF」『東海旅客鉄道株式会社』2024年5月7日
■「芭蕉データベース」『山梨県立大学』
■「『奥の細道』について」『奥の細道むすびの地記念館』

ライター

君子ヰ詩(きみこいし)

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