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葬儀葬式や宗教儀礼が遺族に施すグリーフケアとしての役割とは

葬儀、法事、伝統的な宗教儀礼は簡易化、減少化の一途を辿っている。その一方でこれらが悲嘆に陥っている遺族に施すグリーフケアの手段としても有効であるとする見方もある。グリーフケアの一貫としての葬儀の役割とは。


グリーフケアとは心の安定を取り戻すために乗り越えるべき課題を意味する

悲嘆(grief)とは、悲しみ、嘆きの感情であるとともに、そのプロセスをひとつひとつ段階を追って克服、消化していくことで心の安定を取り戻すことのできる課題の総称であると定義づけることができる。臨床心理学者、ジョン・ウィリアム・ウォーデンは、「段階」という表現では自発的なニュアンスが薄いことから、遺族が積極的に自分でできるという実感が含まれる「課題」という言葉を提唱した。この「課題」は遺族の意志でいくらでも直視することなく回避することが可能ではある。しかし悲嘆を乗り越えるためにはこの課題をクリアする作業が必要である。


グリーフケアの最初の課題は亡くなった事実を受入れること

まず、喪失の事実の受容と苦痛を乗り越える作業。その最初の課題はその人が亡くなったという事実を受け入れることである。喪失というあまりの絶望から自身を護るために心は事実を否認する。そして死んだ人を捜し求める探索行動などを取ることがある。

これに対して、葬儀や宗教儀礼を行うなどして喪失の事実を認識することが課題達成につながる。事実を受容するということは回避していた苦痛と直面することである。苦痛を乗り越えるには感情を抑えつけず、その人へのすべての想いに直面することが必要となる。


その人のいない新しい世界に適応する

その人のいない世界とは、いわば新しい世界である。新しい人生観、人間関係の構築、形成など積極的に取り組むことで課題を達成する。そのためには、死者を情緒的に再配置し、生活を続けることだ。死者のいない環境に適応できたとしてもそれは死者を忘れることにはならない。死者は依然として心の中に生きている。死者との「関係」は、遺された人の心理的な生活の中に、亡くなった配偶者に適当な場所を探し出すことと関わっている。これは死者への固着ではない。死者を心の場所に再配置することで、いわば死者との関係を再構築する。そうすることで死者に囚われることなく、新しい生活を営めるようになるのである。


死者との関係を再構築する

ノンフィクションライター、中島由佳利の著書には、亡くなった姉が「会いにきた」という例が掲載されている。妹は姉がいつも近くにいることを確信し、新しい人生を前向きに送っているという。自分にとってリアルであるなら死者が会いにきたことが客観的事実であるかは問題ではなく、死者との関係を再構築した例であるといえる。

こうした作業は「死んだら終わり」の唯物論的科学的世界観では成し得ない。葬儀、儀礼も単に死体処理のプロセスとして形式的に行っても意味がない。葬儀、儀礼は死者との関係をもう一度見直す場でもあるのだ。


葬儀葬式や宗教儀礼が果たすグリーフケアとしての役割

死亡をもって入院・介護生活が終わった家族はその後どうなるであろうか。カウンセリングや精神科への紹介の時期は適切なタイミングが必要であり、中島も遺族ケアに力を入れている病院を紹介している。しかし、遺族や関係者には必ずしもそのような知識や自発的に実際に接触する行動を起こせない人がいないことも多いのではないだろうか。「グリーフケア」という用語自体知っている一般人もさほど多くはないと思われる。そこで伝統的に培われてきた葬儀の意義がある。グリーフケアを意識的に行わなくても、葬儀には遺族自身によるグリーフケアとしての効果があると考えられる。臨床心理学者、白井明美は「葬式は故人が亡くなったという事実を現実的に認識する機会となり、故人の人生を振り返ることができる点でも意義は大きい」と述べ、ウォーデンも「多くの遺族を死の受け入れへ導く助けをする」と述べている。また精神科医、ハロルド・G・コーニックは宗教儀礼によってストレスなどのメンタルヘルスが改善するなどの研究を発表している。葬儀のような伝統的な宗教儀礼がグリーフケアとして実践されてきたことは見直されるべきである。


なぜ葬儀葬式を行うのか

悲嘆をその名の通り嘆き悲しむ心の状態としてではなく、現実の重みから自身を守り、メンタルを安定させるための前向きの手段として捉えることがグリーフケア・グリーフワークの基本姿勢であろう。決して悲嘆は病的なものでないと考え自発的に課題に取り組むことが好ましい。中島はこうした課題をクリアしていくことによって「苦しむことに向けられていたエネルギーは、新たな関係に向かっていく」と述べている。このグリーフケアの考え方と葬儀・宗教儀礼には共通する要素がある。葬儀・儀礼が死、死者に関わる先人の智慧によるものであるならば当然のことだろう。一様に古臭いもの、非効率なものと切って捨てるのは賢明とは言えない。死が身近になってしまったこのご時世だからこそ見直してほしいことである。


参考資料

■小西聖子/白井明美「『悲しみ』の後遺症をケアする グリーフケア・トラウマケア入門」角川学芸出版(2007)
■中島由佳利「遺された人々の心の声を聴く」三一書房(2008)
■ジョージ・M・バーネル/エイドリエン・L・バーネル「死別の悲しみの臨床」医学書院(1994)
■ハロルド・G・コーニック「スピリチュアリティは健康をもたらすか: 科学的研究にもとづく医療と宗教の関係」医学書院(2009)


ライター 渡邉 昇

記事掲載日:2021/07/09

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