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日本仏教最大の革命児の法然 法然の以前以後で大きく異なる日本仏教

浄土宗開祖・法然(1133〜1212)は、鎌倉新仏教の先駆者であり、日本仏教史上最大の革命児である。法然の革命はどれだけ強調してもしきれない。日本の仏教は法然以前・以後に分けられるといってもよい。法然は「称名念仏」によって、仏教とは宗教とは本来誰を救うものなのかを示したのである。

日本仏教最大の革命児の法然 法然の以前以後で大きく異なる日本仏教

法然以前は観想念仏 法然以後は称名念仏

法然は「阿弥陀仏に帰依する」という意の「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えれば、身分が低くても、悪人であろうと、誰でも死後、極楽浄土に往生できるという「専従念仏」の道を説いた。難解な哲学も過酷な修行も厳格な倫理も道徳もいらない。念仏のみで救われるのである。
この口で称える念仏を「称名念仏」または「口称念仏」という。法然以前の念仏は「観無量寿経」に示されている「観想念仏」のことであった。阿弥陀仏の御姿や極楽浄土の情景をイメージし、目を閉じただけで阿弥陀仏や極楽が現れるようになると、臨終の際に阿弥陀仏が来迎して極楽往生できるというものである。既に日本に定置していた密教ではイメージを用いた瞑想の技法が豊富で、観想念仏もそうした瞑想技法の一種といえる。しかし観想念仏は簡単ではない。イメージを使うのは熟練が必要である。このために死後の往生を願う平安貴族は、平等院鳳凰堂など極楽浄土をイメージした建物や仏像などを建立した。貴族たちはこれらの建物や仏像などを、極楽浄土を観想するための一助としたのだ。寺の建立などという金も手間もかかる事をしたのは、観想念仏がいかに難しい行であるかを示している。もちろんこのようなことは極一部の特権階級にしかできない。寺は無くとも極楽浄土の情景を描く「阿弥陀経」などもあるにはあるが、民衆のほとんどは文字など読めず、経典を聞かせてあげるしかない。聞いたとしても極楽浄土の荘厳な光景を貧しい農民に想像できるだろうか。要するに金も時間も教養も無い、ただただ毎日の生活を田畑を耕して終わる農民らに観想念仏をすることはできない。極楽往生などできないのである。この世に生きていることすら苦しいのに、あの世での安息の保証も無い。それが本当に仏の教えなのだろうか。仏の慈悲は民衆には届かないのか。法然の主著「選択本願念仏集」にはこうある。

法然の主著「選択本願念仏集」

―もしそれ造像起塔をもって本願とすれば、貧窮困乏類は定んで往生の望を経たむ。しかも富貴の者は少なく、貧賤の者は甚だ多しー

もし仏像や寺院を建立することが仏の説く往生への道だとすれば、貧しい人たちは往生できない。そのようなことができる裕福な人は少なく、貧しい人は多いからである。

―もし智慧高才をもって本願とせば、愚鈍下智の者は定んで往生の望を経たむ。しかも智慧の者は少なく、愚痴の者は甚だ多しー

もし智慧や学才が仏の説く往生への道だとすれば、無知無学な貧しい人たちは往生できない。そのようなことができる学のある人は少なく、無知無学な人は多いからである。

法然は探す。名もなき民草が救われる道は無いのか。救いの教えを得るべく、5048巻と言われる仏教経典大全・一切経を5度読み返したという。そしてついに称名念仏の道を見出したのであった。

当代一の知識人

法然は出世コースからは外れていたとはいえ、特権階級である僧侶の中でも「智慧第一」との名高い人物である。人は難しいことをありがたがるものだ。法然のような身分であれば、貴族相手に小難しい専門用語を並べ、深遠な仏教哲学を説く日々であったはずである。念仏だけで良いなどという単純な教えを至上であると言えるはずもない。そんな身分でいながら、誰でもできる「易行」という発想を持った法然の存在は歴史上の奇跡である。法然にとって仏教とは学問ではなく万人の救いの道であった。しかし慈悲と熱意だけではその後につながらない。当時最高の学識者に数えられる法然だからこそ、後進に受け継がれる称名念仏の普遍的理論を構築できたのである。

称名念仏をめぐっては比叡山時代の師・叡空(?〜1179)と苛烈な問答を交わし、称名念仏を受け入れられない叡空は木枕で法然を叩いたという。天台宗の本流に位置する僧侶・叡空にとって称名念仏の教えはあまりに過激、あまりに異端だった。しかしそれだけで師が弟子を叩くものではない。叡山において「智慧第一」と謳われた法然は論争・ディベートに長けていて、叡空も否応なしに論破され激昂したのかもしれない。京都・大原の勝林院で叡山の学僧たちと交わした論争、いわゆる「大原問答」でも法然は尋常ならざる知識量と分析力を披露し、従来の仏教の素晴らしさを認めた上で、称名念仏の優位を立証し勝利している。法然はただの熱い人物ではない。豊かな学識に基づいたディベート力を持ち合わせていた。法然のような高度な学識者が、社会の底辺に生きる民衆への慈悲と熱意を持つことができたことは稀有な出来事であった。

「ケガレ」の浄化

法然の革命は従来の貴族仏教に対してだけではない。日本に溢れる「ケガレ」に対してもその矢は放たれた。法然が開いた念仏宗には尼僧の信者もいた。「愚管抄」には「愚痴無知の尼入道」などと表現されている。女人は月の障りなどから穢れた存在であり、往生はできないとされていた。しかし念仏はどんな人間でも極楽往生させる。仮に女人が本当に穢れた存在であったとしても、念仏の功徳の前には全く関係ない。法然にまつわる有名な伝説に、遊女の救済がある。女性信者の中に後鳥羽上皇(1180〜1239)の女房たちがおり、法然門下の僧侶との噂が立った。これが法然の讃岐流罪へと繋がっていくのだが(承元の法難)、配流先の讃岐で遊女が法然を訪ねてきた。遊女は「私のような汚れた女でも往生できるか」と問い、法然は「もちろんできる。阿弥陀さまは罪深い人間を救うとめに念仏を説かれたのだ」と答えた。遊女は感動で涙を抑えることができなかったという。遊女の現実の生活はその先も変わらなかったに違いない。しかし念仏によって極楽往生を確信できた遊女の心は救われたはずである。

法然に始まる鎌倉新仏教の流れを継ぐ僧たちは、その後も女人救済や究極の穢れである「死穢」、つまり死体の救済へと向かっていく。いわゆる「葬式仏教」の誕生とされるが、現代の「葬式仏教」とは全く異なる、「ケガレ」を浄化する仏教本来の慈悲の行動であった。

日本仏教の正嫡

法然の念仏は従来の仏教各派からは異端そのものだった。一方、若き日の法然が学んだ比叡山の天台教学では、山も川もすべてが成仏できる「山川草木悉皆成仏」を説く。その意味において底辺に生きる人たちや穢れた存在とされた女人など、すべてが成仏できる念仏の教えを説いた法然こそ異端どころか、仏の慈悲を伝える日本仏教の正嫡といえるのである。

参考資料

■法然著/阿満利麿訳・解説「選択本願念仏集」角川文庫(2007)
■阿満利麿「法然を読む『選択本願念仏集』講義」角川文庫(2011)
■松尾剛次「鎌倉新仏教の誕生」講談社現代新書(1995)

ライター

渡邉 昇

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