コロナウイルスの影響により在宅勤務をしている友人からメールが送信されてきた。内容は相続税に関する質問であったのだが、友人は六人兄弟の次男であり、姉一人兄一人と弟一人、妹二人であると言う。両親の内、母親は既に病気で他界している他、兄弟は全員健在だそうだ。この状態で他に相続人は居ないとのことだったが、相続が開始された場合どういうトラブルが予想され、どう解決していけば良いのか聞きたいとのこと。
兄弟姉妹だけであれば相続で揉めることはそう多くない
結論から言うと、他人の血が原因でトラブルとなることが多いのだ。簡単に説明すると兄弟姉妹は所謂血族、即ち血が繋がっている同族同士だ。例外もあるが、幼い頃から一緒に育ったため気心が知れている。骨肉の争いになることもあるが、大体は兄弟姉妹同士での相続は直ぐに円満解決することが多い。
相続人でもない人(配偶者)が欲を出してトラブルを引き起こす
では他人の血とは何かと言うと、前述の例だと兄弟姉妹の配偶者のことになる。父親から見ても兄弟姉妹から見ても、相互が同じ血を有する血族となるが、配偶者は血族ではないのだ。更に、被相続人である父親から見ると、兄弟姉妹は相続人となるが、兄弟姉妹の配偶者には相続権は無い為、相続人ですらない。当該配偶者達が要らぬ欲を出し、本来の相続人である兄弟姉妹を誘導したうえで引っ掻き回すトラブルが多いのだ。
配偶者が相続に介入してきそうなケースの解決策
トラブルの解決策としては、事前に相続人達のみで連絡を取り合い、被相続人の意思を確認しつつ共有し、遺言書を作成して配偶者達の介入を排除することだ。前述の友人にもこの旨を伝えておいた。
兄弟姉妹間でも不仲であれば相続トラブルは起こりえる
先程例外としたが、当然血族であっても兄弟姉妹の仲が犬猿の仲である場合は最悪の状態を招く恐れがある。筆者の経験だと、家庭裁判所の調停があっても納得せず、裁判合戦になってしまったうえ、弁護士への報酬が莫大となり借金をして裁判を継続した結果、相続財産が底をつき莫大な借金だけが残り兄弟姉妹は絶縁状態となった例もあったのだ。こうなっては元も子もない。
介護などが絡むと兄弟姉妹でも相続トラブルは起こる
他に兄弟姉妹間の相続トラブルには次のような例がある。要介護状態であった親(被相続人)の介護を兄弟姉妹の一人だけが行っていた。他の兄弟姉妹は一切介護を手伝うことはなく、あろうことか親の入院時に見舞うことすらしなかった。しかし、相続分は法定相続分として兄弟姉妹の人数で割った等分しか相続できず、納得がいかないとしてトラブルになった。
また、被相続人が所有していた財産は不動産のみであり、等分に相続させることが困難であったためトラブルとなった。行方不明若しくは音信不通の兄弟姉妹が居り、相続確定後発覚、相続分を巡ってトラブルとなる。
予感がする人は専門家に相談を
注意すべき点だが、兄弟姉妹間の相続だと相続税二割加算(相続税法第18条他)や遺留分侵害額請求権が認められないなど幾つかある。被相続人が亡くなる前に兄弟姉妹間で協議しておくことが最も合理的な解決策だが、その際に税理士や弁護士等の専門家に相談しつつ手続きを進めておけば、相続の円満解決に繋がるものと考える。