スマートフォンが普及して固定電話利用者が減少している現在、電話加入権というものがあることを御存知の方は、ある程度の年齢に達している方なのではないだろうか。つい最近、筆者の友人から電話加入権は相続税の課税対象になるのか否かの質問を受けたのだが、結論は相続税の課税対象となると言える。今回は、電話加入権と相続税について簡単に解説してみよう。
電話加入権の購入費用は?
電話加入権とはNTT東日本・西日本の電話回線を設置する際に必要となる権利で、施設設置負担金をNTTに支払うことで取得できる権利となっている。代金は筆者が幼い頃は八万円だったそうだが、現在では約三万八千円となっている。
電話加入権はNTTの固定電話を設置する際に必要とされており、スマートフォンを含む携帯電話やIP電話回線では不要となっている。
電話加入権は譲渡も可能で仲介業者によって売買もされている
有料で他人へ譲渡することも可能であり、仲介業者によって売買もされている。また、希少な電話番号(ゾロ目番号等)となると高価で取引されているという。更に、現在ではスマートフォンの普及により電話加入権の価値は下落しているとされている。因みに自宅において固定電話がある方で、電話加入権が設定されているか分からない場合は、直接NTTに問い合わせてみると良いだろう。
ゴルフ会員権と同様に、電話加入権も相続財産にみなされている
では、電話加入権と相続税の関係についてだが、個人が金員を支払い取得した権利であるため、財産と見做される。故に相続税の課税対象となるのだ。ゴルフ会員権と同様と考えれば間違いない。
電話加入権の評価方法1:購入時の金額で評価する
相続財産となると、法令に従い正しく評価した上で相続並びに相続税の手続きをしなくてはならない。電話加入権を評価する方法としては、次の三つの方法がある。
一つ目は、取引相場のある電話加入権だ。財産を有する人が亡くなった日において、通常の取引価額に相当する金額となっている。つまり実際にNTTに支払った金額をもって相続税評価額とすることだ。
電話加入権の評価方法2:取引相場がない場合は国税が定めた1500円で評価
二つ目は、取引相場のない電話加入権だ。財産を有する人が亡くなった日において、各電話取扱局によって国税局長の定める標準価額によって評価する。因みに現在の標準価額は、全国一律千五百円となっている。通常、電話加入権の評価はこの標準価額によって評価することが多い。
電話加入権の評価方法3:特殊番号の場合は都度評価
三つ目は、特殊番号の電話加入権だ。前述のように8888番や1234番、1000番や0001番と言うような覚えやすい番号、または4242番や4989番と言うような忌避され易い番号を特殊番号と言う。高額で取引されるものもあれば、値段がつかないため評価できないものもある。この場合、売買実例価額並びに精通者の意見等を勘案して、適宜増減した価額によって評価するとされる。電話加入権を評価する場合、特殊番号を所有している家庭は殆どないと考えられるため、三つ目の方法は無視しても問題ないと考える。
相続において電話加入権が与える影響は極めて小さい
相続並びに相続税の実務から言えば、電話加入権自体低額なため相続税にとって殆ど影響は無いものと見做せる。だからこそ見落としがちになることがあるため注意が必要になると言えるのだ。もし、自宅に固定電話がある場合には相続の際に注意して欲しい。