先日筆者の友人から電子メールにて相続に関する相談を受けた。コロナウイルスの問題から友人の子供達が通う学校が休校となり、その世話をするため有給休暇を取得したとのことだったが、配偶者と離婚することを考えていると言う。
離婚問題自体は弁護士の仕事であるため、その旨を友人に伝えたのだが、やはりと言うか税理士と弁護士の職分について知らなかったとのこと。簡単に説明し納得して貰ったのだが、離婚について相続関係で問題があるならば教えて欲しいと言われた
配偶者に相続権は残らないが子供には残る
結論から言うと、離婚した場合配偶者には相続権は無くなるが、子供は相続権を有することになる。具体的に説明すると、夫と妻、子供が二人居て離婚したとすると、夫の所有している財産について妻には相続権が無くなるため相続できない。当然妻が所有している財産について夫には相続権が無くなるため相続できなくなる。子供については、夫と妻両方の所有する財産について相続権を有するため相続できる。親権については、相続権とは別扱いになるため、親権の有無に関わらず子供は相続権を有することになるのだ。
離婚後に再婚した場合の相続はどうなる?
離婚後再婚した場合はどうなるのだろうか。再婚しても子供は相続権を有することになる。また、再婚した配偶者に子供(連れ子)が居た場合、養子縁組をすれば相続権を有することになる。具体的に説明すると、前述の例を援用し離婚後夫と別の女性が再婚した。子供は離婚後元妻が引き取った。再婚した相手の女性には子供が居るが、夫とは血縁関係は無い状態である。この場合だと、夫の所有する財産を相続できるのは、現在の配偶者つまり再婚相手であり、元妻が引き取った子供ということになる。再婚相手の子供は、夫と養子縁組をした場合に限り相続権を有することになる。
元妻が引き取った子供に相続させたくない場合は?
では、前述の場合の元妻が引き取った子供に財産を相続させないようにするにはどうすれば良いかと言うと、家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行わせることとなる。遺言書を作成して全財産を現在の子供に相続させることにした場合だと、遺留分が発生し遺留分侵害額請求をされる可能性がある。こうなると裁判となっても勝訴できなくなるため、元妻が引き取った子供達に相続放棄させる方が確実であると考える。
連れ子を養子縁組させる場合は要注意
一つ注意事項がある。連れ子を養子縁組させる場合だ。連れ子が満年齢十五歳未満の未成年であれば、親権者や未成年後見人の同意が必要となる(民法第797条1項他)だけでなく、養子縁組をする子供の居住地を所轄する家庭裁判所の許可を得なくてはならない。手続きが複雑となるため、弁護士等の専門家に相談したうえで手続きを依頼してみるといいだろう。