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科学と非科学、西洋医学と東洋医学、それぞれのバランス

言うまでもなく我々の生活は西洋文化が到達した「(自然)科学」の恩恵に預かっている。西洋文化と東洋文化の対話の重要性はよく言われることであるが、「科学」を絶対的権威として、科学的実証のされていない事象を非科学的で馬鹿馬鹿しいものと切って捨てる人がいる一方、科学の負の側面を取り上げこれを敵視する人もいる。延命治療、高齢化、葬儀離れなど、新たな死生観が問われる現代において、科学と非科学のバランスは重要である。


科学と非科学のバランス

白血病と闘病中の競泳・池江璃花子選手が、知人の男性タレントによる気功や手かざし療法を受けていると報道され賛否を呼んでいる。件の施術をしている人物の気功などの力量がどれほどかはわからないが、通常の治療と併用するなら、こうした「非科学的」な代替療法も良いと考える。しかし、えてして東洋医学やスピリチュアル的な世界を唱える人は西洋医学を全否定する傾向が強い。これまで代替療法を過信して西洋医学を軽視した末、あえなく命を散らした例は多くある。頭ごなしからの西洋医学憎しの姿勢は非常に危険である。

では気功や手かざしはインチキかといえば筆者個人としてはそうではないと思う。古武道や中国武術など東洋文化圏のボディエクササイズをある程度学べば「気」なる存在を実感することはできる。その正体が、未知の生体エネルギーなのか、単なる体温の上昇なのか、文字通り「気のせい」なのかは不明であるが。もちろん、「気」で相手を吹っ飛ばすだの手も触れずに投げ飛ばすなどできるはずがない。漫画でもあるまいし人間の力でできることとできないことがある。大事なことは東洋的な叡知を科学的世界観にいかに取り込んでいくかだろう。

「人は死なない」がベストセラーとなり話題になった矢作直樹東大名誉教授は、西洋医学の欠点を指摘し、スピリチュアルな世界観を提示している。逆にチベット仏教のダライ・ラマ14世は宗教者の立場から、科学者との対話を積極的に行い、宗教と科学の橋渡しをしている。そうした動きもあるのだ。


全局面的医療

西洋医学と東洋(中国)医学の統合を目指す、ホリスティック医学という医療の潮流がある。日本における第一人者 帯津良一医師(元東大医学部医局長)によると、ホリスティック医学も黎明期にはアンチ西洋医学的な立場の人が多くいたが、現在はむしろ西洋医学を核とした上で、東洋の智恵を取り込むという形になっているという。帯津医師自身も「中西医結合」を唱え、気功や漢方などの東洋医学を取り入れ、かつ、必要であれば手術や放射線治療なども積極的に行う全局面的な治療体制を提供している。

帯津医師は神秘思想家 ルドルフ・シュタイナー(1861~1925)についても言及している。シュタイナーは「シュタイナー教育」の創始者として知られているが、霊の世界を感知する能力があったとされている神秘思想の大家である。しかし、あくまで科学的な視点を放棄せず、霊の存在が前提となる「霊学」の確立には、科学的思考が不可欠であると強調している。シュタイナーには霊や死後の世界を語る著書が多数存在しているが、自分の思想を学ぶ上で最初に読むべき著書として推奨する「自由の哲学」はオカルト的な要素は全く無い論理的な哲学書である。非科学的な領域に関わるなら、その前に科学的・論理的思考を身につけることが必要なのだと言うわけだ。

帯津医師も矢作名誉教授も、重要なことは医師を辞めていない事実である。ガンでなくなったフリーアナウンサー小林麻央さん(1982~2017)が標準的な治療を拒否し、民間療法に偏った方針を取っていたと一部報道がされた。その真実は外部の人間には知るよしもないが、帯津医師は小林さんについて、あの年齢で乳ガンなら私なら手術を勧めていたと述べており、がん治療は戦略的に行わなくてはいけないとしている。戦略(Strategy)とは、いくつか戦術(tactics)の組み合わせで成り立っている。手術、放射線、そして漢方や気功も戦術のひとつとして採用し、多角的かつ総合的治療が必要なのだ。

スピリチュアリストを自称する江原啓之氏がテレビ番組で「病気になったら病院に行きなさい、私も病気になれば病院に行きます」と話していた。理性ある発言だと思う。手かざしや祈るだけで万病が治るわけもない。しかしプラシーボであれなんであれ、一定の効果があることも事実である。まずは実証的な西洋医学の門を叩き、足りない部分を補完するのが理性的な態度といえる。


科学・医学側からの理解

ほとんどの人は病院で最期を迎える。病院は現代における「幽事(かくりごと)」の世界である。入院中の患者にとって窓の向こうに広がる日常世界は二度と戻れないかもしれない孤独に苛まれる。神秘的な東洋医学や、スピリチュアルな世界に頼りたくなるのは当然だ。彼らにとっては科学も非科学もない。
科学・医学側がそうしたものを排除しようとすればするほど、追い詰められた患者は「非科学」に目を向け、そこに悪徳業者らによる落とし穴が開いている危険がある。
科学・医学側は西洋医学を核とした上で、東洋的なもの、スピリチュアル的なことにも一定の理解・評価をし、患者には信頼できるルートを提供してあげることだ。そうしたことで、悲劇をなくせるし、治癒の確率を上げることにもなるだろう。


より良いバランス

2019年9月21日現在、復旧が大幅に遅れている千葉県の大規模停電の惨状は、我々がいかに電力に依存しているか痛感させられた。昨今では自然破壊や核開発、臓器移植など人間を「モノ」として捉える見方への疑問など、科学の暴走、科学偏重主義に対する反省からの批判が高まっている。さりとて冷蔵庫やエアコン、パソコン、スマホを捨てられるはずもない。我々は科学と非科学とのより良いバランスを考えていくべきではないか。


参考資料

■帯津良一「死を生きる」(2009)朝日新聞出版
■帯津良一「いさぎよく死ぬ生き方」(2017)徳間書店
■矢作直樹「人は死なない」(2011)バジリコ
■ルドルフ・シュタイナー著 高橋厳訳「自由の哲学」(2002)筑摩書房
■ダライ・ラマ14世 ダニエル・ゴールドマン 加藤洋子訳「なぜ人は破壊的な感情を持つのか」(2003)アーティストハウスパブリッシャーズ


ライター 渡邉 昇
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