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【葬式といえば寅さん?】「男はつらいよ」から読み解く「死者の帰郷」

映画「男はつらいよ」シリーズの最新作の制作が発表された。すでに鬼籍に入っている渥美清(1928~96)演じる「フーテンの寅さん」こと、車寅次郎の出演シーンは合成して制作するようだ。この映画には昭和を生きる庶民の生活が描かれている。それと同時に「死者の帰郷」という日本人の宗教観を見いだすこともできる。

【葬式といえば寅さん?】「男はつらいよ」から読み解く「死者の帰郷」

葬式といえば寅さん

寅さんといえば葬式であると言えば、ファンから異論がでることはないだろう。寅さんは葬式となると俄然張り切り、仕切りに入る。遺体の保存から仕出しの弁当の中身にまで気を配るなど、その手際の良さはシリーズを通してしばしば描かれている。親代わりである「おいちゃん」の時にはこんなことを言っていた。

「仕方がねえだろ、おいちゃんが死にでもしなきゃね、俺は恩返しができないんだよ。さすがとらやの旦那さんの葬式だ。立派な葬式だったって、人に羨ましがられるような葬式を出してえなって思ってたのよ」(男はつらいよ 望郷篇)

おいちゃんの死は寅さんの勘違いだったのだがが、ここまで寅さんが葬式にこだわるのは何故だろうか。恩返しなら他にもあるはずだ(義弟・博にもそう指摘されている)。
冠婚葬祭は重要なイベントである。特に親の葬式を立派にあげることは古来よりの美徳であった。それに加えて寅さんの場合、より深い理由があったのではないかと思われる。それは死者へのシンパシーだ。

優しいふるさと

周知の通り寅さんは全国各地を渡り歩く風来坊である。農牧民であることを捨て、遊牧民の生活を選んだ彼だが時折、故郷である東京・柴又に帰郷する。物語はそこから始まる。風来坊というが、寅さんは生まれも育ちも東京は葛飾・柴又の生まれで、柴又に鎮座する帝釈天で産湯をつかった根っからの江戸っ子である。

「男はつらいよ」が描くところの下町・柴又はいわゆる田舎のダークサイドとして表現される「ムラ社会」とは真逆の土地柄で、義理人情に厚く迷い込んできた「余所者」に対しても温かく優しい。
本来、寅さんのような無職の風来坊は地域コミュニティの異分子であり、厄介者扱いされるのが当然で、家族から縁を切られてもおかしくはない。仮に家族が受け入れても近所の目は冷たいだろうが、作中の柴又の人たちはたまに帰ってきて悪態をつく寅さんを温かく迎えてくれる。そんな柴又は寅さんにとって安心して帰れる場所なのである。

寅さんは旅先で人生の迷い人に出会うと、東京に行くことがあれば、実家である柴又の草団子屋「とらや」を訪ねろと言う。「とらや」と柴又の人たちはきっと温かく迎えてくれるからと。フーテンの寅は根なし草ではない。帰る場所があるからこそ気ままに旅ができるのだ。

旅人と死者

寅さんが葬式になると張り切るのは葬式が、自分が愛し、いつでも帰れるところの地域コミュニティ最大の「お祭り」だからだ。
寅さんにしてみれば、死者もまた旅人である。旅人は帰る場所がなくてはならない。葬式とは景気よく旅人を送り出すイベントである。そしてお墓なり仏壇なり、何より人々の記憶の中に死者が「帰る場所」を作る建設的なイベントでもある。

日本の宗教観においては死者はこの世ならざる旅に出る旅人であり、お盆やお彼岸などには帰郷する人たちだ。地域の慣習などで違いはあるが、死者は年に4回、夏のお盆と春・秋の彼岸、冬の正月に帰ってくる。正月は本来、歳神となった先祖の霊が帰る日でもあり、意識する人も少なくなったが門松は本来、歳神を迎える目印であった。

「男はつらいよ」も盆と正月に上映されていた。作中、寅さんは柴又に帰ってくる。それは我々の前にも寅さんが帰ってくることを意味する。
そして一時の逗留を終え、旅人は再び旅に出る。寅さんの旅立ちを妹のさくらが見送るのは定番のラストシーンだ。その切ない別れも次の盆か正月までの話である。決して永の別れではない。

死者は生きている

葬式や墓参りなどは自分が安心するためのものだという意見を聞くことがある。しかし、いつも見守ってくれてありがとう、あなたが見ていてくれてるから生きていけると、自己満足ではなく、本気で死者に仏壇やお墓を通して語りかけてもよいのではないか。そして死者が帰ってくるときには喜んで迎え、一族が集まり、在りし日の話に花を咲かせる。それではダメなのか。「葬式は自分のため論」で得られるものなど、「知的でクールな自分」に浸って悦に入るくらいではないかと思う。

「死者は帰ってくる旅人」という宗教観は、日本の葬儀のほとんどを受け持つ仏教の思想からは異なる。仏教では執着を捨てろと説くからだが、例えば不慮の出来事で子を失った親に簡単に執着を捨てろなどと言えるだろうか。

子供の部屋をそのままにしている親がいる。確かにそれは執着かもしれない。次の一歩を踏み出せないでいるとも言える。それでもその思いを否定する気にはなれない。親が完全に執着を捨てれば、子供は帰る場所がなくなってしまうではないか。日本人の死生感において死者は帰ってくるのだから。

いつか帰る場所

死は誰にでもやってくる。家族に看取られようと孤独死だろうと、死ぬのは自分ひとりである。しかし自分が死んだあともみんな、自分を忘れてはいない。それどころか、帰る場所を用意して待っていてくれている。我々は安心して旅に出ればよいのである。
寅さんが葬式にこだわるのは「いつでも帰ってきていいのよ」という、さくらの言葉を死者に語りかけているのかもしれない。

第50作目となる新作は今年12月27日、公開予定とのこと。タイトルは『男はつらいよ お帰り 寅さん』。旅人はやはり、相変わらず帰ってくるのである。

ライター

渡邉 昇

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