ニュースや書籍等様々な媒体によって、相続税対策の特集が組まれ注目を集めている。理由は平成27年(2015年)に相続税が増税されたことと、平成30年(2018年)の民法改正により、今まで有効とされてきた相続税対策に一定の規制がかけられたことだ。二つの改正により、相続税が無関係とされてきた人達が、状況によっては相続税の課税対象者とされてしまうか、相続税の税額軽減措置の適用を受けることができず、高額な相続税を納税しなくてはならなくなってしまう。
富裕層に対する税金だった相続税
本来相続税は富裕層を対象とした税金であり、庶民にとっては無縁とされてきた。確かにそれは事実ではある。しかし、前述のように状況次第では相続税が課税されることになった現状において、相続税対策の必要性並びに有効となる相続税対策とは何かについて再考した方が良いのかもしれない。
相続税がかかるかどうかは簡単にわかる
非常に大雑把なことを言うと、総資産から住宅ローン等の借金、つまりマイナスの資産残高を差し引いた資産額が三千万円以下であるならば相続税が課税されない。この数字は相続税の基礎控除額が根拠になっている。因みに相続税の基礎控除額とは「3000万円+法定相続人の数×600万円」である。法定相続人が居る場合、当該法定相続人の数一人について600万円ずつ基礎控除額が増加することになる。前述の三千万円というのは最低限の数字であることに留意されたい。
その人によって最適な相続税対策は変わる
問題となるのは、資産が相続税の基礎控除額を超える場合だ。基礎控除額を超えた金額に相続税が課税される。そのままだと高額な税額を納付しなくてはならなくなる。ここで相続税への対策が必要となってくるのだ。当然、相続税が課税されなければ対策は必要ない。対策とは具体的に何をやるのかと言うと、相続税法並びに関係諸法に準拠し、法の認める範囲内において税額を軽減させる為に必要な措置をとることなのだ。
これは、人によって千差万別であり、また対策の効果も変わってくるために一概には言えない。代表的な対策を幾つか挙げてみると、生前贈与、配偶者控除、養子縁組による基礎控除額の増額、生命保険の加入や生命保険控除の適用等である。
相続税対策は、生前に行わなければ意味がない
相続税の対策について最も重要なことがある。それは、財産を有する人が亡くなる前に手を打っておくことなのだ。どういうことかと言うと、前述の代表的な対策は生前でなくては対応できないからだ。
もう一つ重要なことがある。相続税の対象者とならなくても、税法の改正等状況によっては大きく変わり、対象者となってしまうことがある。自分は無関係として関わらないようにするのも良いが、他人事と捉えずに少しでも興味を持って貰いたいと考える。その際には税理士や弁護士等の専門家の門を叩き、アドバイスを貰うことを勧める。そうなれば、その人に合った明確な回答を得られるはずである。