念仏講
山形県のお葬式には「念仏講」や「観音講」と呼ばれる組織が存在します。
これらの組織は各地域に点在していて、女性が参加するものです。
これらの組織に参加している女性達がお葬式に集まり、「御詠歌」といわれる歌を唱和してくれます。
ご詠歌と言われる風習の一つで、ここで歌われるものは仏教のの教えです。
和歌の形で歌われることもあれば五七調の歌詞に曲をつけたものを歌うものもあります。
日本の仏教では古くから伝統的に行われてきた風習で、山形県では農村部を中心にまだ根強く残っていると言われていますが、市街地などでは廃れつつあるようです。
繰り上げ三十五日法要
葬儀の当日に初七日法要を行うことは全国的には珍しい話ではありませんが、山形県では三十五日法要まで行うこともあります。
東北地方では、気候などの関係から「取り越し法要」などの形で四十九日法要や百か日法要まで行う地域が存在します。
「取り越し法要」で特に有名なのは青森県ですが、山形県でも三十五日法要まで行うことの追い地域として有名です。
宗派によってはこの三十五日法要を忌明けとすることもあるため、繰り上げ法要を行う場合、そういった部分も注意が必要です。
告げ人
最近では携帯電話などの普及によって無くなりつつありますが、山形県では「告げ人」の風習も有名です。
この風習は、家族などが亡くなったことを近隣の住民などに知らせに行くというもので、忌を告げるという意味から告げ人と言われています。
忌に関係することを行うため、これを行う場合にはしっかりとやり方が存在します。
特に重要なのは男性二人一組で行うというもので、一人で行うことはよくないとされています。
どうしても一人で行かなければいけない場合には、小石を持つことや、もう一人の役目として他人の男性の名前を書いた紙を持って行くことで一人にならないようにします。
これらは魔除けとしての意味合いが強いと言われています。
前火葬が一般的
山形県は東北地方の一般的なお葬式と同じく、前火葬が主流になっています。
通夜に参列しても、故人のお顔を見る事はできませんので、どうしても最後のお別れをしたいと考えている場合には、遺族や喪主に相談や確認をする必要があります。
前火葬が一般的な地域というのは全国的に見てもそう多くはないため、初めて前火葬のお葬式に参列する場合には少し驚くかもしれません。
御詠歌や繰り上げ三十五日法要など、独特な風習の多い地域ですので、それらも含めて当日にあれこれ慌てたりしてしまわないように、事前に情報収集しておくのが望ましいです。