大きな金額の六文銭
お葬式で「六文銭」の考え方をする地域は全国的に珍しくはありません。
六文銭とは、三途の川を船で渡るために必要な船賃であったり、冥途で必要なお金だと言われていて、あの世に旅立つための副葬品の一つとして広く行われています。
岩手県では、あの世に持って行くお金が「少なくて困ってしまわないように」という願いを込めて大変大きな金額にすることがあります。
百万円や場合によっては百億円ということもありますが、もちろん本物のお金を使うことは難しいですので、紙にその金額を書いて入れるというやり方をします。
六文銭もそもそも一文銭が今は流通していないため用意が難しいので、一文銭と書いた紙を六枚入れることで代用することもあります。
通夜は一回ではないことも
岩手県の考え方では、亡くなられてから葬儀までの間毎晩供養を行います。
この毎晩の供養全てが「お通夜」だと言われているため、葬儀まで日が開くほどお通夜の回数や日数も多くなります。
この場合、弔問者を招く通夜とそうでない通夜がある事も珍しくないため、必ず確認を取るようにしましょう。
そういった難しい部分があるため、最近では市街地を中心に葬儀の前日のみを通夜とする一般的な考え方が広まりつつあります。通夜を複数回行うという独特な考え方をする地域は、農村部や沿岸部などに限定されつつあります。
逮夜と御夜食料
岩手県には「逮夜」と呼ばれる通夜の行い方が存在します。
逮夜という文字には次の日まで及ぶといった意味があり、その意味通り、逮夜を行う場合には次の日の夜明けまで行うこともあります。
そういった通夜のやり方を行う場合、一般的な数時間で終わる通夜と違って弔問者の来る時間にも余裕があります。
弔問者が来なくなるまでずっと通夜を続けることもあるため、通夜が長時間に及ぶことは珍しくありません。
通夜に招待され、通夜振る舞いを受ける場合には、香典とは別に「御夜食料」を包んでわたすのも一般的です。
香典返しはその場合、少し多めにすることもありますがそうでないこともあります。
御夜食料にはいくらぐらい包めばいいのか、香典返しはどうしたらいいのかなどは、地元の葬儀社などに事前に確認を取るようにしましょう。
前火葬
岩手県でも前火葬が広く行われています。前火葬が多いという部分では東北地方全体的に共通している部分ですが、岩手県の場合そうなった理由に少しだけ違いがあると言われています。
岩手県ではお葬式は寺院で行うことが伝統的に多いのですが、寺院の本堂に遺体を入れることが好ましくないと考えたため、先に火葬を行いお骨にしてから葬儀を行うようになったと言われています。
そのため、寺院で行うお葬式の場合ほとんどが前火葬でのお葬式になります。
最近では自宅葬などの多様な考え方の広まりとともに、後火葬も増えつつありますが、岩手県では前火葬が主流である事には変わりありません。