現代的なお葬式事情
東京都でのお葬式の様式は、日本のスタンダードというよりも関東のスタンダードという位置づけであると考えるのが適切です。
実際、日本仏教の伝統的なお葬式の形式を守っているのは東北地方であり、関東と関西でも内容が大きく異なるところがあります。
ただし、大都市化や人口の集中によるお葬式の現代化など、今の日本のお葬式事情が最も分かりやすく表れている地域という意味では、東京都が日本のスタンダードになりつつあるとも考えられます。
火葬場や斎場の順番待ち
人口か過度に集まる東京都では、火葬場や斎場の順番待ちが頻発しています。
このような状況は神奈川や大阪などでも発生していて、民営施設などで改善を目指しています。
場合によっては通夜を行うのが亡くなられてから七日以降ということもあるため、そういった時には「繰り下げ初七日法要」が行われることもあります。
順番待ちの影響で、斎場の使用にも時間制限があったりと、東京都でのお葬式で一番悩ましいのは日程の部分であるといえます。
人が集まるから風習も集まる
全国各地から人が集まる東京都では、移り住んできた人達の地元の風習に合わせたお葬式を行えるように努力する葬儀社も数多く存在します。
そのため、国際色や多種多様な宗教のお葬式が毎日行われています。
家族葬や音楽葬など、今風なお葬式の形も増えているため、参列する前にどういった宗派やお葬式なのかをよく確認する必要があるともいえます。
そういったことを面倒に思い、多くの流派の影響を受けながらも、特に有名なしきたりなどだけが残ってできあがったお葬式の形態というのが、今の東京のお葬式です。
通夜振る舞いは全員に
東京都のお葬式の中でも最も特徴的といえる部分は、通夜振る舞いが参列者全員に出されるという部分でしょう。
関西地方やそれ以西の地域では、通夜に一般参列者を呼ばない地域も多く、呼んだとしても通夜振る舞いが出ないことが多いのに対し、東京都を中心とした関東地方では、通夜振る舞いを全員に出すのが一般的であることから、真逆な考え方であるといえます。
この時出される食事は、箸をつけることが故人の供養になるため、遠慮しすぎて一口も食べないというのは失礼にあたります。
古来からこういった葬儀に関する食事では、殺生をしてはいけないという考え方が根強く、野菜や豆腐などを食すのが当たり前でしたが、最近ではお寿司なども頻繁に出されるようになっています。
故人の好きだった物や見栄えのいい食べ物を通夜振る舞いで食べるという部分も、現代になってくるにつれてお葬式が変化してきたということの象徴の一つといえます。