相続により不動産を取得した場合、相続税や贈与税は勿論のこと他にも課税される税金があることをご存じだろうか。今回は、不動産に課税される税金を簡単に解説してみよう。
不動産取得後にかかる税金は「登録免許税」
不動産を相続するとまず相続税や贈与税がかかる。次に課税される税金は登録免許税だ。取得した原因が相続であっても、所有権移転登記をしなくてはならない。登記手続きを失念している方も多いが、通常だと登記手続きは必要となる。登録免許税は、登記手続きを法務局に申請する際に課税される。売買であれ、贈与であれ所有権移転を伴うものであれば、必ず課税される税金だ。税率は次のとおりだ。(措置法第72条、登記法第9条他)
(1)土地:当該土地の価額(固定資産税評価額)×1000分の4である。
(2)建物:当該建物の価額(固定資産税評価額)×1000分の4であるが、贈与の場合だと1000分の20となる。但し、建物の税率には条件により軽減税率が設定されている。細かい規定があるので、当コラムでは省略する。
不動産を所有しているだけで毎年かかる税金は「固定資産税」
次に固定資産税だ。当該不動産が所在する各市町村において、所有する当該不動産に対して課税される。税率は固定資産税評価額×100分の1.4となっている。詳細は、各市町村のホームページを閲覧、または課税課に直接問い合わせて確認してほしい。登録免許税は所有権移転の登記をする際か銀行から借り入れをして、抵当権設定の登記をする際や他にも登記が必要とされる場合に課税される税金だが、固定資産税は当該不動産の所有を継続する限り課税されることに注意が必要だ。
不動産を売却する時にかかる税金は「所得税」
最近の報道で話題になっている空き家。居住する予定もなく、賃貸物件として投資することもなく、そのまま放置されていることが問題となっている。不動産を相続したと言っても、居住する予定がないならば、当該不動産を売却するという選択が最も合理的かもしれない。
但し、売却すると状況によっては所得税が課税(所得税法第33条他)される。その状況だが、売却代金から購入代金、取得費用(不動産業者に支払った仲介手数料等)を差し引いた残額と、一定の要件を満たした場合のみ適用を受けることができる特別控除額を比較し、残額が特別控除額より多額だった場合だ。残額は利益と見做されるため、利益に所得税が課税される。一定の要件を満たさないと、特別控除額の適用を受けることができないため、所得税額が増加することも充分有り得る。また、所有していた期間によっても所得税の税率が変わってくる。税率は次のとおりだ。
(1)当該不動産を5年超所有していた場合:所得税率15%+2.1%(復興税率)
(2)当該不動産を5年以下所有していた場合:所得税率30%+2.1%(復興税率)
不動産を相続した後、売却する場合には不動産仲介業者に相談するのも手だが、税金の専門家である税理士に相談する方がより効果的であると考える。売却のタイミングや実践的な節税についても良いアドバイスを得ることができるであろう。