あまり前もって考えたくない事のように思われますが、実際にどなたかが亡くなってしまった時に慌てて葬儀の準備をしても、その間故人が落ち着かない状態に置かれてしまうという事であり、そのような状態は出来るだけ避けて頂いた方が良いと私は思います。
現在は、直葬・家族葬・密葬・自由葬などと様々な形の葬儀がありますが、その葬儀の形はどのように決めたら良いのか、とても悩むところだと思います。
既に互助会に入会し、1口いくらかという形で積立てしていらっしゃる方は、そこで色々と御相談されれば良いかと思いますが、やはりランクというものがあり、積立て金だけで賄えるものばかりではありません。
また先祖代々の墓石をお持ちの方は、その墓地がどちらのお寺でお世話をされているのかわかれば、そのお寺のご住職に御相談する事も可能かと思います。
ただ、いずれにせよ残された家族がどのように故人を送りたいのかという事を重視した葬儀であるべきなのです。
私が体験してきた昔ながらの葬儀
私は現在40代半ばですが、様々な葬儀に参列してまいりました。
私が30代に差し掛かる頃、同級生が突然事故で亡くなりました。
その時の葬儀はとても盛大で、参列者も400人はくだらなかったと記憶しています。
既婚者で会社員であった男性でした。家族・親戚はもちろんの事、友人や会社の方々がたくさん参列していました。
故人が30代・40代・50代となると、参列者も多くいらっしゃる事が予想できます。
この様な場合、なかなか小さな葬儀という訳にはいかないでしょう。
また、私の父方の祖母が93歳で亡くなりましたが、その時の葬儀も盛大でした。
祖母の年代は子供を多くもうけており、その子供達にそれぞれ私の様な孫がいるので、家族・親戚だけでも40人~50人はおりました。
それに、祖母は商売をやっておりましたので、その関係者や近所の方、友人など100人ぐらいは参列して頂きました。90代にしてはかなり大きな葬儀となりました。
この2件の葬儀はいずれも斎場で行われており、一般的に言われる葬儀でした。
斎場では、参列者が多くても駐車場や待機部屋、お食事部屋などそれぞれの場所が確保されておりますので、残された家族としては斎場の方に任せておけば参列者のお世話の心配はせずに済みます。
自宅葬は確かに慌ただしかったのですが・・・
ところが、私の母方の祖父の葬儀の場合は少し違いました。
祖父は55歳という若さで亡くなってしまったのですが、亡くなる少し前に自宅に戻り、本当に最期の最期は病院で亡くなりました。
この時の葬儀は自宅で行いましたが、家族は故人を偲んでいる間がありませんでした。
亡くなってすぐにお寺へ連絡をし、お経をあげて頂く手配をしました。
また車でいらっしゃる参列者の為に御近所へご挨拶にまわり、近くの交番までその連絡に行く。というようにとにかく走りまわっていました。
そして遠方からの親戚の寝室の準備はもちろんの事、飲食に関しても全て家族で準備をしました。
今のような仕出しやケータリングなどがあまり知られていなかった頃の事ですので、とにかく全てにおいて家族が準備したのです。
自宅での葬儀の割には盛大に行われたと記憶していますが、本当に残された家族は忙しくて、ゆっくりと故人を偲んでいる時間はなかったのです。
ただ、祖父を自宅から送る事が1番良いと考えていたので、今でもこれで良かったと家族は思っています。
初めての家族葬
最近では叔父が60代半ばで亡くなりました。
こちらの家族は無宗教という事と経済的な事があり、家族葬という事で葬儀が行われ、公営の墓地へ墓石をたて納骨をすませました。
私の中で【家族葬】といわれる葬儀は初めてでしたので、今でも鮮明に覚えています。
家族葬といっても、故人の兄弟と近しい親戚で行われましたので、実際は10数人といったところでした。
こちらのご家族は、何も準備をしておらず亡くなってから親戚の叔母の紹介で斎場や火葬などを手配していました。
火葬場の都合と経済的な事で、通夜・告別式という流れではなく、火葬する日に【お別れの会】というものがありました。
数年前【おくりびと】という映画がありましたが、それに近い印象があります。
故人は斎場の1室を借り安置されていました。火葬の日までは、自由に出入りができ故人の顔を拝む事が出来ました。
そして火葬当日、安置していた部屋からお別れの会を行う部屋へ移動されていて、そこで故人を囲み参列者全員で旅の支度をする。という流れでした。
2人1組になり、三角頭巾・経帷子・手甲・脚絆・足袋・頭陀袋などを身につける。これがお別れの会でした。
こうして振り返ってみても本当に様々な形の葬儀がある事がわかります。
一番重要なことは心ある葬儀にしてあげられたかどうか
私の両親は至って健康に過ごしていますが、今から自分の葬儀についての要望などを私に話してきます。
これも一種の【終活】なのかと思っています。
直葬や家族葬などは低価格で行う事が可能ですが、私はとにかく心のある葬儀にして頂きたいと思います。