相続税とは何かと改めて考えてみる。
相続税が税法として整備され、施行されたのは意外に古く、今から100年以上前に遡る。目的は、日露戦争の戦費の捻出だった。
相続によって取得した財産に応じて課税される税金。それが相続税。タイを始め、幾つかの国々には相続税が無い。羨ましいと思うか、不公平と思うかは人それぞれだろう。
焦って節税しようとすると痛い目にあう?!
相続税は、相続した財産に課税される税金であるのは当然だ。
しかし、どの税金にも課税の公平という目的があるが、相続税も例外ではない。表現が矛盾するが、課税の公平という目的を達成するために、相続された財産以外にも相続税が課税されることがあるのだ。
それは「相続開始前3年以内に贈与によって取得した資産」だ。
おかしな話だ。何故贈与された資産に相続税が課税されるのだろう。贈与されたのだから、贈与税ではないのか。相続税と贈与税の二重課税ではないのか。と、殆ど全ての方々が、そう思わずには居られないだろう。しかし、課税の公平という目的から、この制度は必要なのである。そして、これこそが、早めに相続税の対策を始めるべき根拠となるのだ。
じっくりゆっくり贈与がオススメ
筆者の経験上、5年以上の年数を掛けて、確実に相続税の節税対策を練り、実行している人達は稀(2家族のみ)であった。
他の殆どの人達は、家族の誰かが急に倒れて入院するか、交通事故に遭い生死の境を彷徨う状態になって、初めて相続税の節税について相談を始めることが多かった。
相続税の節税対策として最も有効なのは、生前贈与である。亡くなってからの贈与ではなく、存命中に贈与しなければ意味がないものだ。故に、上記の殆どの人が、大慌てで贈与することで財産の分割を図り、財産の評価額を下げようとする。その結果、相続税額が減額されることを狙う。
税務署としては、こういった露骨な贈与は、看過するわけにはいかない。ここまで露骨だと節税ではなく課税回避と見做されてしまうのだ。課税回避を防止し、課税の公平を満たすために、上記の制度は存在する。
終活とは、結局、後悔しないための活動だ
相続税と贈与税の二重課税についてだが、上記の制度では、課税された贈与税については、既に納付した贈与税について相続税から控除されるため、二重課税にはならないようになっているのでご安心を。
だが、状況により相続税が多額になる事実には変わりはないのだ。だからこそ、家族が皆元気な内に、時間を掛けてしっかりとした節税対策を練るべきなのである。
税金(税法)は、既に全国民に対してネットや書籍によって告知され、誰でも知ることができる。理解できるかは別としても、知りませんでしたという言い訳は、税務署には一切通用しないのだ。理解できなければ、税理士等の理解している者に相談すれば良い。必ず解決策を提示してくれるし、良い方向へ導いてくれるだろう。その為には、事前に何が必要で、何が問題となるかを家族で相談し、情報を共有すべきだと考える。事が起こってからでは遅い。後悔のない終活を目指して欲しい。