葬儀のトラブルが増えている。独立行政法人国民生活センターも、全国の消費生活センター等に寄せられる葬儀サービスの相談が増えていると発表している。ちなみにトラブルの主な原因は葬儀費用についてであるが、中には互助会との解約に関連したトラブルもあるという。
法律改正により、解約に応じない互助会には厳しい処罰が下される
互助会とは、いずれやってくる葬儀に備えて、生前から少しずつ費用を積み立ていくというシステムである。これについて、一番大きな問題となるのが、解約そのものだろう。もしかしたら、中には解約できないものと思い込んでいる方もいるかもしれない。しかしご安心あれ、解約はできるのだ。
割賦販売法が平成20年に改正され、解約ができなくなる、あるいは、厳しい条件付きで解約に応じる等の特約を定めることが禁じられた(割賦販売法35条3項3他)。違反した場合には、当該互助会には裁判所から営業停止処分等の罰則規定を以って罰せられる。詳細は、経済産業省のホームページ等を参照して貰うとして、この改正でポイントとなるのは、改正前に契約した分もさかのぼって解約できる点だ。
さてこの改正でポイントとなるのは、改正前に契約した分もさかのぼって解約できる点だ。この規定は、平成19年に消費者契約法が改正され、割賦販売法とも連携して消費者を悪徳業者から守ってくれる。解約するかしないかで悩んでいる方は、是非経済産業省の取引信用課へ連絡し、相談してみると良いだろう。他にも専門の弁護士が居るので、有料となる場合もあるが、時間をとって相談することを勧める。一人で悩む必要はないのだ。
解約手数料について争われた裁判では「加入月数 ✕ 75円」が妥当であるという判決がくだされた
次に問題となるのは、解約手数料だろう。
平成23年に某大手互助会に関して、高額な解約手数料の返還を求める裁判があった。結局高等裁判所の判決では、原告の請求を認め、被告である某大手互助会に対して、解約手数料の一部を返還する命令を下した。
何が基準となって高額か低額か判断されるか。この線引きが微妙かとも思われる。しかし、ここでも安心できる材料がある。上記の某大手互助会の裁判の判例を受けて、大阪高等裁判所が解約手数料に関するガイドラインを決定したのだ。それは契約月数に約75円を乗じた金額以上(超えるではない点に注意)の解約手数料を請求することはできないとされた。一定の目安として、この金額以上の分は請求できない。請求した場合は違法となる。
ただ、注意して欲しいのは、解約の際に解約手数料を請求されること自体は違法ではない。ガイドライン未満の金額ならば、請求しても問題にならない。問題となるのは、ガイドラインを大きく上回る多額の解約手数料を請求され、強制的に徴収されることだ。
生前から積み立てていくという事自体は決して悪いことではない
法の改正と、それに伴う裁判所の決定によって、不当とみなされる多額の解約手数料を請求されることが少なくなってきているのは良いことだ。
これまで互助会の解約について綴ってきたが、過去とは違い法的な整備も進み、消費者を守るべく様々な機関が相談に乗って貰えるようになってきた。
事前に調査し、自分に合った互助会と契約するのも良い。また、契約後にトラブルになった場合には、専門家に相談しつつ決して諦めず行動すれば、必ず解決する。悩まず、諦めず、しっかりと行動し、安心できる終活を目指して欲しい。