前回のコラムでは仏壇購入の前に知っておかなければならないこととして、そもそも自分の家系が、どの宗教宗派に属しているかが重要になると伝えた。
なぜなら宗教宗派によって、仏壇の仕様が変わるからだ。
そこで今回は日本最大級の仏教宗派である浄土真宗のお仏壇について書いていきたいと思う。
必要なのは「仏飯器、三具足、打敷、教本、御文章」
そもそもお仏壇というのは、お寺の中にある内陣(寺院の本堂で神体または本尊を安置してある部分)を小型化し再現したものである。
そのため、形は仏具やお飾りの仕方は浄土真宗のお寺の形に準じている。しかし、大きな内陣を小さな仏壇に入れるため、すべてが入りきるわけではない。そこで、浄土真宗のお仏壇に必要最低限のお飾りというのがある。
それは、「仏飯器」「三具足(香炉・花瓶・ろうそく立て)」「打敷」「教本」「御文章」である。
仏飯器とは「仏様にご飯をお供えするための器」
「仏飯器」とはいったいどのようなものか。これは読んで字のごとく、「仏様にご飯をお供えするための器」である。
実はこれが浄土真宗の仏壇で最も重要なものといっても過言ではない。それは、浄土真宗におけるおつとめに関わるものだからである。
浄土真宗のおつとめは様々なものがあるが、その特徴的なものの一つとして、毎朝炊き立てのご飯をお供えする、といったものがある。
よって、「仏飯器」はなくてはならないものである。
三具足とは「香炉・花瓶・ろうそく立て」
次に「三具足」である。これは、香炉・花瓶(読み方はかひん)・ろうそく立て、これら三種類を合わせたものである。
「香炉」とは香をたくのに用いるものである。香炉は実に多くの種類がある。陶磁器・漆器・金属製と材質も様々で、形によって飾香炉・聞香炉と名前が変わる。
「花瓶」はお花を供えるために利用する。しかし、供えてはいけない花もあり、それはバラのようなとげのあるものや、毒をもつもの。さらには匂いのきつい花もお供えしてはならない。また当然のこととして、造花もお供えしてはならない。
打敷は「布の敷物」 教本、御文章は「浄土真宗の教えが記されている書簡」
三つ目の「打敷」であるが、これは布の敷物である。ただの布ではなく、金襴を用いたものがよいとされる。決して安物でごまかしてはならない。
最後の「教本」と「御文章」は浄土真宗の教えが書いてあるものである。聞きなれない「御文章」というものは、蓮如(浄土真宗中興の祖)が浄土真宗の教義を平易にしたためて門徒に与えた書簡を編んだものである。やはり、こういった教えの書いてあるものはその宗派の特徴を表すものであるので必要不可欠なのである。
また、浄土真宗そのものの仏壇は、ご本尊である光り輝く阿弥陀如来そのものをあらわすため、お仏壇も金色の金仏壇がよいとされている。
これら以外にも飾ると当然立派にはなるが、自宅では大きな仏壇スペースをとれないことを考えるとこれで十分なのかもしれない。もっとも一番大切なのは気持ちではあるが。