読者の皆さんには、「一張羅」や「晴れ着」といった一番自分を輝かしく見せる衣服はあるでしょうか。
服は個人の内面の象徴であったり、時としてその内面をより美しく私たちに見せてくれます。
欲を言えば私たちは、いつでも、美しく又は格好良く見られたいと考えるものです。
それは、私たちの肉体が滅せられる寸前でも変わりありません。
そこで今回は、人生を最期まで華やかに自分らしく魅せるための1つの方法として、最近注目されている「エピローグドレス」をご紹介します。
火葬されるときの最期の衣装 「死装束」
そもそも、私たちは亡くなってからその身が荼毘にふされるまで、どのような出で立ちをしているのか、想像してください。
イメージとして連想されるのが、幽霊のイメージではないでしょうか。
それは概して、白い三角の布のついた鉢巻に、真っ白な着物を着ている姿です。
もちろん、この死者の姿にはちゃんとした意味があります。1つは、閻魔大王の御前において失礼のないように、正装としての意味があります、もう1つはこのような真っ白な衣装は、古来より汚れのない高貴な身分を象徴するものとされていたために、死者を最期は高貴な身なりで送ってあげたいという気持ちを表す意味があります。どちらにおいても、死者を最期まで敬う気持ちが表れています。
ありきたりな死装束ではなく、その人らしさを表現するエピローグドレス
最近注目されている「エピローグドレス」とは、従来の死装束の形式にとらわれることない、故人の希望に合わせて葬儀や火葬の最中に着る衣装を言います。
例えば、エピローグドレスを手がけていることで有名な「エピローグサロン光の庭」を訪れてみると、パティードレスのような華やかなものもオーダーメイドすることができます。同サイトでは、自分を着飾る具体的なイメージが浮かばない方のために、既製品としてのエピローグドレスも多数揃っています。つまりエピローグドレスには、故人への敬意に加えて、故人自身が納得のいく姿で最期を迎えられるようにという狙いが込められています。
現在は女性もののエピローグドレスがほとんどですが、今後男性用のものが市場進出してくることが期待されます。私見ではありますが、死装束としての「正装」や「高貴さ」を維持しつつ、男性故人の個性を引き出す衣装としては「エピローグタキシード」や「エピローグモーニング」などが考えられるのではないでしょうか。
益々強くなる葬儀における差別化
最近はオリジナル棺桶や無宗教葬、家族葬など、葬儀における旧来の宗教的側面よりも、故人本人の意志や願いをダイレクトに葬儀形態に反映させる風潮が強まっています。エピローグドレスの注目も、以上のような葬儀の差別化意識のもとに成立しているものと考えられます。
また自分を死後、いかに美しく魅せるかを考えることは、「死」を肯定的に捉え直す機会にもなると思います。一度、具体的な想像を膨らませてみてはどうでしょうか。