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余韻を好み、余韻を大事にする日本人 葬儀とは余韻である 

直葬、家族葬。葬儀を簡易な形で執り行うことが増えているようだ。経済的な問題もあり、家族の故人を悼む気持ちに変わりはなく、それ自体は批判されるものではない。しかし形式以前に葬儀そのものを意味がないと否定する向きがあるがそれはどうだろう。葬儀に何を求めるか。日本人の心性に関して言えば、それは去りゆく故人との日々の余韻を味わうためではないだろうか。

余韻を好み、余韻を大事にする日本人 葬儀とは余韻である 

余韻のある映画とそうでない映画

「ビッグ・ウェンズデー」というサーフィン映画がある。数年に一度の水曜日に訪れる大波に往年のサーファー達が挑戦する物語だが、非常にセンチメンタルな内容で、アメリカではあまり受け入れられなかったらしい。しかし日本では大ヒットとなりサーフィン映画の代名詞のような作品となった。筆者は「ロッキー」のラストに驚いたことがある。試合終了後、リング上でロッキーが恋人エイドリアンと抱き合い、その後のエピローグなどはなく、そのままエンドになったのである。勢いのままエンドに突入するのはハリウッド映画によくあるパターンだが、少年期の少ない経験に照らしても唐突に感じたものである。もちろん名シーンではある。

これに対して「ビッグ・ウェンズデー」は、主人公たちが大波の前に力尽きて、若い世代(当時のトップサーファー、トム・カレン本人)の活躍を背に海岸を後にする。ロッキー的演出なら主人公たちが肩を組んで去っていき、その背にエンドロールが流れ…といったところだ。しかしその後、場面は一転して、主人公がひとり静かな夕陽の海を見つめ、背を向けて去るという余韻たっぷりのシーンが導入されて幕を閉じた。余韻を好む日本でヒットしたのも頷けるというものだ。

主語と目的語がない日本語

お笑い芸人のとにかく明るい安村さんがイギリスのオーディション番組で大評判になったとして話題になっている。その要因のひとつに日本語と英語の文法上の違いがあるとの指摘が散見されていて興味深い。それによると、安村さんの決め台詞といえば「大丈夫。履いてますよ」だが、この英訳「Don’t Worry.I’m wearing」は目的語を取るため、英語圏では不完全な表現となる。英語ネイティブの人には何を履いているのか言ってもらわないと気持ちが悪いのだ。だから「I’m wearing」に対して審査員の女性が「Pants!」とレスポンスを付けた。安村さんはこの機を逃さず(最初から計算していた可能性もある)、その後は「wearing?」と疑問文風にアクセントを替えて審査員のレスポンスを待った。「wearing?」「Pants!」のリズムによって場が盛り上がったというのである。

日本人は「大丈夫。履いてますよ」に「何が?」とは聞かない。「大丈夫。“パンツ”は履いてますよ」では冗長でつまらなくなる。日本人は「wearing?」ではなく「wearing…」で終わらせることを好む。この「…」は言語化する必要はない、むしろしてはいけない、非言語された一種の余韻ではないだろうか。一連の流れを「Pants!」で締められると余韻が台無しになって白けてしまうのである。「ちびまる子ちゃん」のナレーションでお馴染みの言い回しに「〇〇をしていた、まる子の立場は」というものがある。「立場は『無い』」では台無しになる。「立場は」で止めることで非言語された余韻を味わうのだ。

こうした比較を見ると英語圏の人たちは最初と最後がはっきりしている。誰が、なぜ、何をしたと、主語や目的語を必要とし、余計なおまけは不要とする。そもそも主語と次に動詞を置いて結論を先に言う文化である。その視点から見ると「wearing」「立場は」などで止める表現は文法上不完全で非論理的に思えるだろう。

余韻とは逆に出だしの話になるが、川端康成「雪国」の有名な、「国境の長いトンネルを抜けると、雪国だった」の英訳は「The Train came out of the long tunnel into the snow country.」だそうである(註 永井均「哲学のエッセンス 西田幾多郎<絶対無>とは何か」 NHK出版 2006)。英文法上「電車」という主語を抜くわけにはいかなかったのだろう。しかし日本人からすれば、主語が非言語されているからこその名文である。

葬儀は余韻を味わう場

著名人が死亡した際に葬儀は身内で済ませた上で、お別れの会を実施することがある。あれは必要なことだと感じる。著名人であれば故人を慕うファンにその人とのエピローグを、余韻を提供する義務がある。葬儀は心の区切り、ケジメを付けるために必要だとする論がある。それも間違いではないと思うが、一方で、葬儀とは故人との関係の余韻を味わうためのものでもある。家族縁者以外の知人、関係者の多くは、死の瞬間に立ち会うことはない。死後、何らかの手段で伝達されるものである。その後に見送る場がない場合、知人にとっては死亡の一報がラストシーンになる。「エイドリアン!」で終わるようなものだ。しかし私たちには静寂の夕陽の海が必要である。故人との余韻を味わいたい。葬儀は故人とのエピローグの場なのである。

余韻は無駄か

最近の若者は音楽を聴く際にイントロを飛ばすという話を聞いた。カラオケで間奏を飛ばす人もいる。彼らにとってボーカルと関係ない非言語化の部分は無駄、無意味ということなのだろうか。また以前ネットで「祭りは非科学的でやる意味がない」との書き込みを見たことがある。非言語、非論理、非科学…それらが無駄、不必要というなら、故人との余韻を味わう、故人の魂との交流としての場である葬儀などは無駄の極みである。本当にそれでいいのだろうか。言語・論理の極みであるAIの進歩が著しい今こそ人間らしさが問われている。

ライター

渡邉昇(掲載日:2023/05/30)

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