「女三界に家なし」ということわざがありますが、今の時代にはだいぶそぐわないものになってきました。子供時代に親の言うことを聞くのはある程度仕方がないとして、嫁いでからは夫、老いては子に従う?……まったく、冗談じゃありませんよ(笑)と思う女性は多いことでしょう。
住居と家族の両方の意味を持つ「家」
ところで、家という日本語には、「住居」というニュアンスと、「家族・血族」という意味合いの2つがありますね。住居としての家は、多様化しています。アパート、マンション暮らしの人もいるでしょうし、一戸建てはもちろん二世帯住宅を建てる人もいる。でも、どんな形式の家であっても、その家に住んでいるのは、昔ながらの家父長制的な大家族は減り、核家族化しているのが全体の潮流ではないでしょうか。
昭和の時代には、祖父祖母・父母・兄弟姉妹のいる家で育ったという人々も多いと思います。当時は、親戚やご近所にもこういう3世代同居の家はよくありましたが、今ではだいぶ少なくなったという実感があります。
平成22年の国勢調査によれば、日本は、65歳以上が人口に占める割合が世界一高い国で、1人暮らしの方が統計上最も多く、全体の3割を超えているのだそうです。一般世帯でも2.42人が平均数だそうです。
かつて、家の持っていた「家族・血族」の部分のニュアンスは、現在だとお墓に引き継がれていると思います。墓においては、まだ家墓という形が主流で、「○○家の墓」の中には、曾祖母曽祖父・祖父祖母・父母が揃っているというところも多いのではないでしょうか。
私の骨はどこにいくの?
ところで、わたし(筆者/女)に妹はいますが、兄弟はいません。実家の墓には上記のように先祖のお骨が収められています。そしてわたし自身は結婚していますが、子供がいません。義理親との付き合いは年に1度顔を会わす程度で、別居していますし、これから先も同居することはまずないでしょう。義理親は2人とも地方から東京に出てこられた方々なので、墓所は新品を都内で買い求められたそうです。
さて、わたしが死んだら、わたしの骨はどこに行くのでしょうか?
義理親のお墓に入るのは、どうも違うと思うのです。一緒に住んでいないので、同墓へ入るという実感が湧きません。子供の頃からお参りに行っている実家の、先祖代々の墓に入る方がまだ馴染みがあります。こういうことを書くと「それはどうなの?」と眉をひそめる保守的な方がいるのも理解できます。「夫はどうするの?」といった疑問もあるでしょう。そういった憂いを残すのが嫌だったら、散骨あるいは永代供養墓への合葬がいい……。だとしても、男子の継承者とその子孫がいない先祖代々の墓はどうなるのか? 先のことは何が起こるかまったくわかりませんが、どうやら、女の墓問題は悩ましいことが多そう……そんな懸念が頭に横切ります。
試されるお墓の継承法
夫婦単位の家が増えてきた現在、家父長制の直系家族制度を反映してきた「先祖代々の墓」の継承法が試されているところなのでしょうね。
さらに少子高齢化問題で、墓の担い手は減っていく方向でしょう。お墓にこだわらない埋葬法を選ぶ人も増えていく気がします。今後、お墓の問題を考えるのは、社会的時代的な変化を見据えつつ、それぞれの選択をしていくことになっていきますね。