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減少傾向のお墓はそもそも庶民が求め檀家制度によって確立された

仏壇や神棚の無い家は増える一方であり、墓に対するこだわりを持たない人も多くなった。他方で環境問題などの高まりから自然葬や散骨普及しつつあり、これらには現代的なイメージがある。しかし本来は墓や仏壇こそ「自然」を超えて進化した文明の証とも言えるのである。

減少傾向のお墓はそもそも庶民が求め檀家制度によって確立された

檀家制度は悪か

新型コロナウイルスの新規感染者の減少傾向が続き(東京都2021年10月30日現在)規制が解除されたこともあり2年ぶりに帰省をした。まずは仏壇にご挨拶である。そこには両親はじめ縁のある人たちが変わらず自分たちを迎えてくれる。仏壇があり位牌があり遺影がある風景はあたかも死者たちの住居の感がある。この風景は江戸時代の檀家制度(寺請制度)を中心に確立されたものである。

檀家制度はとかく評判が悪い。庶民を政府の管理下に置いた制度、葬式仏教への堕落、現代に至るまでの寺院の既得権益の始まり、などといった印象がある。現代は信教の自由が叫ばれ、葬式離れや墓じまいが進んでいる。一方で神秘的な密教、般若心経や唯識などへの哲学的関心、マインドフルネスに関連したテーラワーダ仏教、スピリチュアルやパワースポットのブームなど。葬式商売と化したとされる伝統仏教への風当たりが非常に強い。檀家制度はその諸悪の根源という扱いを受けているように思われる。

自然に帰すしかなかった庶民は墓を求めた

先日バラエティー番組で奈良県は古墳と共に生活しているという特集を組んでいた。古代の墓とはいえば古墳であるが、そこに葬られるのは貴族・豪族、一部の権力者に限られた。庶民はといえば山や河原に打ち捨てられていたのである。この時代、庶民は死ねば自然に帰すしかなかった。庶民にとって墓は遠い存在だったのである。鎌倉時代になりゴミのように捨てられた遺体を供養したのが、法然(1133〜1212)、栄西(1141〜1215)ら新仏教と呼ばれる一派の僧侶であり、叡尊(1201〜1290)、忍性(1217〜1303)ら旧仏教の改革派だった。「沙石集」「宝物集」など当時の説話集には、庶民が父母の遺体を懇ろに葬ることを望んでいたことや、鎌倉仏教の新しい流れの僧たちが彼らに葬送を行う話が数多く存在する。

檀家制度によって庶民はお墓に葬られるようになった

こうした流れを経て庶民が確実に墓に葬られることを決定づけたのが江戸時代の檀家制度である。檀家制度は庶民と墓を結びつけた。その背景には確かに政府による庶民統制や、仏教界との癒着という面もあったことは間違いない。キリシタン排除の手段でもあった。一方で見方を変えれば「どんな人でも墓に葬ってくれる制度」でもある。かつてゴミとして処分された庶民も人として儀礼を施され、第二の住居たる墓に移り住むことができるようになったのである。これを文明の進化と言っても誤りではないはずである。

文明や進化は悪か

「文明」や「進化」という言葉も昨今ではあまり良い意味では使われないことが多い。文明という言葉には自然と相反する概念を含み、科学的発展による人間のエゴが指摘されることもある。そこから環境破壊、自然保護が叫ばれ「自然への回帰」が錦の御旗となる。自然葬や散骨も自然回帰の思想が根底にあると思われ、人工的な墓は否定される。魂の自然回帰を詠んだ「千の風」の冒頭は「私は墓にはいません」であった。

原始時代を生きる人々「はじめ人間」の生活を描いたアニメ「はじめ人間ギャートルズ」(原作・園山俊二)の最終回は痛烈な文明批判を描いたものだった。「ブンメイ」なる人物が現れ、はじめ人間たちに農耕の技術を教える。彼ははじめ人間たちを服従させ土地を支配した。はじめ人間たちは不満を持ちつつも、「シューカク」というものが来れば腹いっぱい食べられることを信じて農耕に励む。しかし出来たものは肉でも果物でもなく、頭を垂れた稲穂だった。「こんなもののために」と憤慨する彼らをマンモスの大群が襲撃。彼らは石斧を手に取りマンモスを撃退した。残されたのは気を失った(死んだ?)「ブンメイ」と、踏み荒らされた田畑、そして仕留めたマンモス。はじめ人間たちは「これが俺たちのシューカクだ!」と意気揚々としたラストを迎える。

ここでは狩猟から農耕への進化は否定され、より自然に近い狩猟生活が賛美されている。この話では「ブンメイ」は横暴で傲慢。自由に生きてきたはじめ人間たちは囲いに封じ込まれ、地平線の見えない空間の中で苦役を強いられた。農耕文明は完全な悪であり散々な扱いであった。

ギャートルズの原作は文明批判、自然回帰を叫ぶヒッピー文化華やかりし60年代後半から70年代前半にかけて描かれた作品である。この最終回における文明批判には考えさせるものが多々ある。文明には弊害があるのは確かである。しかし我々は原始の昔に戻れるわけはなく、ほとんどの人は戻りたくないだろう。批判とは否定する対象の短所と、自己の主張の長所を比較して優位に進めるものだということは心得ておくべきである。

見直すべき歴史

現代では不要無用扱いをされつつある墓には庶民の願いが込められていた。文明の進化とは生活が便利になることだけではない。人間の精神や魂も進化する。自然から墓へ至る歴史もそのひとつといえる。古臭いと思われる墓や仏壇は、文明の進化が生んだ産物であった。墓や仏壇を捨て去る前にその歴史を振り返って考えることも必要ではないだろうか。

参考資料

■松尾剛次 「鎌倉新仏教の誕生」講談社(1995)
■松尾剛次 「葬式仏教の誕生」平凡社(2011)

ライター

渡邉 昇(掲載日:2021/11/05)

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