現役東大生が登場するクイズ番組や、脳をトレーニングするような謎ときの番組が人気だ。問題の中には難しい漢字の読みや、四字熟語や故事成語の意味を問うものもある。ここでは、仏教や寺院に関係する四字熟語やを取り上げ、どんな語源や意味を持っているのか紹介する。
冠婚葬祭(かんこんそうさい)の冠と祭の意味は
よく耳にする「冠婚葬祭(かんこんそうさい)」と言う言葉。「婚」は結婚、「葬」は葬式、「祭」は祖先の祀ることだが、「冠」は実は成人式(元服)のこと。元服の時に冠を初めて付けることから、元服を表している。
獅子身中の虫は、仏教に害をもたらす者
ちょっと意外なのは「獅子身中の虫」の「獅子身中(しししんちゅう)」が仏教の言葉だということ。獅子の体の中の小さな虫が、やがて獅子を死に至らせるという意味の四字熟語だが、元々は仏教徒でありながら、仏教に害をもたらす者が語源となっている。
一言居士(いちごんこじ)とは
どんなことにも口を出さないといられない人のことを「一言居士(いちごんこじ)」と呼ぶ。この「居士」とは出家はしていないが、仏教に帰依する男性のこと。男性の戒名の下に付ける称号でもある。
一蓮托生(いちれんたくしょう)も仏教が発端
「ここで負けたら一蓮托生だ」などと、他人と運命を共にする意味で使われる「一蓮托生(いちれんたくしょう)」の語源も仏教。生前良い行いをした人は、極楽浄土で同じ蓮の花の上で生まれ変わることが元になっている。
南都北嶺(なんとほくれい)はどこの寺院?
「南都北嶺(なんとほくれい)」は、そのままの意味は「南の都、北のいただき」だが、南都とは興福寺で、北嶺は延暦寺のことだ。京都から見て南にある奈良の興福寺と、京都と滋賀県の県境にある比叡山の延暦寺は平安時代中期以降、勢力を誇っていた代表的な寺院。この二院を指す言葉となっている。
面壁九年(めんぺきくねん)は字面通りの意味?
「面壁九年(めんぺきくねん)」は高僧・達磨大師が少林寺に籠り、9年間壁に向かって座禅をし続けた結果、悟りを得られた故事が由来。一つのことに粘り強く取り組む様子を表している。
数字が入った四文字熟語
「四苦八苦(しくはっく)」も仏教の言葉だ。「四苦」は人生における苦しみで、「生」「老」「病」「死」のこと。これに「愛別離苦(愛する人と別れる苦しみ)」、「怨憎会苦(憎い人と会う苦しみ)」、「求不得苦(求めても得られない苦しみ)」、「五陰盛苦(心身を形作る5つの要素に囚われている苦しみ」を加えて、八苦としている。
数字が入った四字熟語と言えば、富士山を登る修行者が唱える「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」がある。目、耳、鼻、舌、身(体)、意識(心)からくる迷いを断ち切って、穢れのない清らかな身となる意味を持っている。
参考資料
■「新レインボー四字熟語辞典(オールカラー)」2016年 学研プラス