知り合いのテレビ番組制作ディレクターが放った一言。これを聞いたわたしは、びっくりしてもう一度聞き返してしまいました。
「え、ダイヤモンドって言いました!?」彼は葬儀関係の番組に携わったことからそんな知識が豊富なのだそうで、たまにいろいろ教えていただいていたりしております。
「調べてみなよ」と言われ、さっそくネット検索。
検索候補にも出るほどの「遺骨 ダイヤモンド」
なるほど、「遺骨」とワードを打ちこむだけで検索候補に出てきました。「遺骨ダイヤモンド」。信じてなかったわけではありませんが、本当だったんだな、ともう一度びっくり。
そもそも天然のダイヤモンドはどのように生成されたのか?
地球の深い地底で、高い圧力とある程度の高温にさらされた炭素がダイヤモンドになるらしいのです。炭素という成分が必要なようです。
そこで人間の遺骨。わたしは科学者でもないし、その道を勉強したわけでもありません。そして、当然ながらごりごりの文系。そんなわたしが無知ながら調べたところ、どこまで信憑性があるかは分かりませんが...遺骨の約9割が炭素なんだとか。その遺骨から抽出した炭素を、現代の科学技術を駆使して、高圧力高温というダイヤモンド生成の条件におき、人口のダイヤモンドを作ることができるのだそうです。
言ってみれば、大事な人を、ダイヤモンドとして生まれ変わらせるようなものですよね。
遺骨によって色が変わるダイヤモンド
実はこの遺骨ダイヤモンドの色、入っている成分の違いで微妙に変わるんだとか。透明な青色が濃さを変えるんだとか。そう聞くとやっぱり気になる...自分は、あの人は、どんなダイヤモンドになるんだろう。
自分を輝かせるのもそうしないのも自分次第、ってよく言いますが、まさに自分を宝石に例えたような言い方ですよね。自分たち人間が実はダイヤモンドになれるかもしれないなんて、そんなこと知らない時から言われてきた例え。森羅万象、どこかでつながっているのだな、と思わされました。
つながっているといえば、その遺骨ダイヤモンド。この世から旅立ってしまったけど、でもいつも一緒にいたい。そんな想いから作り出されたと言います。同じような考え方で、様々なアクセサリーに収納部分を作り、そこに遺骨を入れつねに身に着けるということもされているようです。最愛の人を亡くし、耐えられない程の悲しみに見舞われたとき、故人の遺骨を自分の身に着けておくことで、亡くなった方との絆を感じることができ救いとなるということです。それを「手元供養」というようです。
時代とともに変わる故人との接点
手元供養は大きく2つに分けられます。前述した、つねに身に着けるアクセサリータイプと、あまり持ち運びなどしないで部屋などに置いておくオブジェタイプ。アクセサリーはペンダント、ブローチ、ブレスレットなど。オブジェは2種類に分けられ、納骨容器に入れるタイプと、遺骨自体を加工するタイプ。
ダイヤモンドはこの遺骨加工タイプに入ります。アクセサリーにするのはまた別途なんだとか。
このような手元供養というのもまた、樹木葬や散骨と同じように、お墓を持つことへの不安、無宗教、核家族化などが影響しているようです。一見人と人のつながりや、昔からのよき風習が失われていってしまうようにも見えますが、しかしその反面、遺された人にとって人生における最大の悲しみを和らげるという効果もあります。愛する人を手元に置き、いつもそばにいるように話しかけ身近に感じる。もしかしたら、故人も寂しくないかもしれませんね。そんな供養の仕方もよいのかもしれません。