先日、仕事場でお墓の話題が出たときのことです。その場にいた人の叔母さんが今話題の樹木葬を望み、探していたという話しになりました。やはり最近は人気のようで抽選なんだとか。何度か外れ、やっと通ったその半年後に、叔母さんは亡くなってしまったといいます。眠る場所が見つかって安心されたのでしょうか。
実はその話しを聞いて初めて、わたしは樹木葬を知ったのでした。母なる海や、さらに大きく宇宙に散骨するという葬法は聞いたことがありましたが。その樹木葬と言う埋葬の仕方を聞いて、自分が子供の頃に考えたことを思い出しました。
わたしは幼い頃からなぜか、死について考えることが多く、怖くなって眠れなくなることもしばしばありました。実はいまでもときおりあります。そのせいなのか「眠り≒死」と思えて、眠りに落ちるのも怖かったので、いまではすこし睡眠障害があるようです。
自然に還るという意味でも樹木葬って素敵ですよね
そんなになるまで何を考えたかというと、やはり死の命題「死んだら自分はどこへ行ってしまうのか」。こどものわたしは、ただひたすら怖がる事しかできなかったのですが、いつのころからか救済はやはり「生まれ変わる」という概念だったと思います。
その一環なのでしょうか、自分がいつか死んでしまったら、骨壷に入るのではなく、大地に還り樹木の栄養になって、地球の一部となって眠りたいと思うようになりました。まさに樹木葬。なのでその存在を聞いて久々に、こどもの頃の自分は土に還ることを考えていたなぁ、と思い出したのでした。
そこですこし樹木葬について調べてみることにしました。樹木葬とひとくちに言っても、今は人気も拍車をかけたことによって、その仕様は多様化していますが、大きく分けると2種類になります。
どちらの樹木葬が好みですか?
日本で最初の樹木葬を行ったのは、岩手県一関市にある寺院で、里山墓地という形になっています。自然に溶け込むように埋葬し、人工物は置かず、埋葬にあたって一本樹木を植林し、そうすることで埋葬者は樹木の一部となり、さらには里山保全にもつながっているようです。これがまずひとつめの「里山型」です。
もうひとつは、一つの大きな樹木を中心に、複数埋葬される「シンボルツリー型」もしくは「公園型」といわれるもの。これは、一遺体につき一本の樹木が植樹されるわけではないので、そんなに大きな土地を要しないため、おもに都市で採用されているようです。公園型では、日本の定番である桜が不動の人気を誇るようですが、このごろではバラなどの華やかな花園も好まれているそうです。
埋葬方法も、骨壺から出してそのままとか、自然に還るタイプの袋などに入れて、などなど。公園型では、プレートが設けられたり、区画がきっちり分けられたりなど、だいぶお墓に近いような形もあるようです。
お墓を持つよりもはるかに安価であることも魅力の1つです
この樹木葬ですが、「墓地」として認められた土地でしかできません。そのスタイルから、海などでの散骨と同じように考えられてしまいがちなのですが、実はまったく違って、大きな意味では「墓地での埋葬」という形にはなるのです。
ですが、これも人気になっている要因の一つで、お墓を持つよりはるかに安価です。そして、継承の必要がありません。いちど購入すれば、永久的にそこで眠ることができるのです。場所によっては、追加料金を支払うことで、そこで眠る人と同じ場所に入ることもできるのです。あとは、宗教が関係しないので、わたしのような無宗教の人間には敷居が低いと言えます。このように、特徴を書き連ねると、現代の家族構成や人間関係などが見えてくるような気がします。
核家族化、少子化、不況…。
樹木葬どうお感じになりましたか?
しかし、山を切り開いてわざわざ人工物を置き連ねるより、はるかに地球にやさしく、そしてもともとの地球の生物としての眠り方に戻っていくようなこの葬送方法は、わたし個人としては悪くないのではないかと思えたのでした。
きっとお参りに訪れる家族・友人も、自然や樹木やお花に囲まれ、なごやかな気持ちで故人を想うことができるのはないかと、想像できそうな気がしたのでした。