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公立福生病院透析中止事件と尊厳死について

公立福生病院透析中止事件は今年3月7日の毎日新聞朝刊のスクープで始まり、他紙もその日の夕刊や翌日の朝刊で後を追った。毎日新聞は公立福生病院で、昨年8月、外科医(50歳)が近くの診療所で透析治療を受けていて、血液浄化のため腕に作った血管の分路(シャント)がつぶれたため訪れた都内の腎臓病患者の女性(当時44歳)に対して、首周辺にカテーテルを入れて透析治療を続けるか、透析治療を中止するか(中止するとおそらく2週間くらいで死を迎える)の選択肢を示し、透析中止を選んだ女性が1週間後に死亡した。


メディアはどのように報じたか

患者の状態が極めて不良の時などに限って治療中止する日本透析医学会のガイドラインから逸脱し、病院を監督する都は6日、医療法に基づき立ち入り検査したと伝え、医師は患者を死に至らしめる透析中止の選択肢を提示して良いのかと厳しく病院の責任を追及し、他紙の論調も毎日新聞と同様であった。


公立福生病院は記者会見でどのように説明したのか

3月28日、福生病院の担当医と院長が初めて記者会見を行い「透析中止は患者の意思です。病院から透析中止の選択肢を示していない」と話し、メディアの報道を否定した。外科医は首周辺に管を通す透析治療を提案したが、女性は「シャントがだめだったら透析をやめようと思っていた」と提案を拒否した。外科医は「透析をやめると2週間くらいで死に至る」と説明すると、女性は「よくわかっている」と答えたという。さらにその後、患者とその夫を交えて話し合った結果、「透析治療を中止する書類に女性は署名した」とのこと。

病院の説明と新聞の記事はどちらが事実であるのか。どうやらメディアは都など関係機関に取材しただけで、当事者である外科医や病院に十分な確認をしていなかったようである。


他の医療現場の医師はこの事件をどのように感じたのか

愛媛県松山市の医療法人ゆうの森の理事長永井康徳氏はマスコミ報道に違和感があるとして以下のように答えている。

「医師が透析の中止を選択肢として提示することはいけないことなのか。そもそもこの出発点のボタンが掛け違っている。私自身、透析中止の選択肢を提示した経験は何度もある。今回の問題の核心は人工透析の中止を提示して死に至ったことではなく、患者及び家族と十分な話し合いがもたれていたかということだ。これはまさにACPの問題である。意思決定支援では本人が何を望んでいるのかを最優先に考えることが大切である。そして全ての選択肢を関係する全ての人と十分に議論することが大切で、出した結論に対して、気持ちが揺れてもいいことを伝えておくことも大切だ。」(引用元:問題は「透析中止」にあらず、マスコミ報道に違和感

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは自らが望む人生の最終段階における医療・ケアについて前もって考え、医療・ケアチーム等と繰り返し話し合い共有する厚生労働省が取り組む施策で愛称を“人生会議”という。


末期腎不全の透析治療の現状

末期腎不全の治療法としての透析には血液透析と腹膜透析があり、他に腎移植もあるが、わが国では腎提供が少なく、ほとんどの患者にとっては透析治療しか選択肢が無い状況だ。透析治療を受けている人は年々増加し、2017年には334,515人に上る。透析患者の97%が血液透析の治療を受けており、患者は週3回、1回につき4時間の透析時間が必要で患者の生活時間は相当束縛される。

透析治療の費用は高額だが、健康保険でカバーされるため患者の負担は軽減されている。ただ透析治療によって腎機能が回復されるわけではないし、合併症を持っていることも多く、一般的に短命となっている。やはり健康な腎臓と取り換えることがベストで、ドナー登録の増加が望まれる。


日本尊厳死協会が示す延命措置の不開始と中止の条件は何か

日本尊厳死協会は次の3点をあげている。

(1)患者本人に、十分なインフォームドコンセプト(主治医による十分な説明と患者の同意)に基づいた不開始・中止を求める意思がある。(自己決定)
(2)客観的に病態が不治かつ末期の状態にあること。
(3)尊厳ある生の確保と苦痛の除去を目的としたものでなければならない。

尚、福生病院は日本透析医学会に事件についての調査を依頼し、協会は倫理面も含めて調査し、新たなガイドラインを作成するとのことである。尊厳死という極めて重たい選択の過程で病院側の瑕疵は無かったのか。もし問題があったのであれば、速やかな改善を期待したい。 


ライター 三宅 薫
安楽死か、尊厳死か

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