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葬式仏教の台頭が仏教と死を結びつけた?非日常的な存在の仏教の課題

日本の仏教が葬儀と結びついた"葬式仏教"の形態は、必ずしも堕落を意味するものではない。それでもなお、我々の日常において死は忌むべきもの、死者は日常から切り離される存在である。その死=葬儀のイメージが、宗教本来の役割といえる「死と向き合う」ためにマイナスになることがある。

葬式仏教の台頭が仏教と死を結びつけた?非日常的な存在の仏教の課題

嫌われるお経

女子アナウンサーの特集バラエティー番組の中で、休暇中にお寺で修行したというアナウンサーがお経を披露した。場内が静かになり最初のフレーズを唱えたところでMCが「やめろ~!」とツッコミで潰して、場内爆笑の段であった。しかしこれは、お経=暗い、怖い、縁起悪いなどのイメージから成り立つ流れである。出演者も観客も、そのイメージを共有しているからこそ笑いにつながった。これがキリスト教の讃美歌であったならまた違った反応になったのではないか。お経は葬儀や法事で唱えられるものであり、日常空間においてはタブーとされていることが垣間見えたのだった。

仏教の中で非日常的な存在の象徴 お経

死者のイメージからか、お経は怪談や心霊モノの類につきもののアイテムともなっている。筆者も若いころ、夜の峠を車で走っていた時、カーブの壁に書かれた「南無阿弥陀仏」の落書きがライトに浮き上がって肝を潰した記憶がある。これが昼間の都会であっても、唐突に壁に「南無阿弥陀仏」と抱えていたら、多くの人は薄気味悪く感じるのではないだろうか。

正確にはお経ではないが、「南無阿弥陀仏」いわゆる「念仏」は、六時名号といい浄土系仏教の中心になっている。浄土系寺院では常に念仏が唱えられているし、至る所に書かれてもいる。寺院の参拝者がそれらを受け入れられるのは、寺院が死者と交流する非日常的空間だからだ。非日常的空間を飛び出し、日常世界=生者の領域に入るとき、我々は死と死の恐怖に向き合うことになる。それがお経に対するある種の不快感を生み出すのだろう。

そもそもお経は恐ろしいものではない 

お経は本来そのような恐ろしいものではない。「南無阿弥陀仏」の「南無」は「帰依する」という意味で、「阿弥陀仏」は極楽浄土の教主・阿弥陀如来のことである。阿弥陀仏は善人悪人関係なく、全て悩める衆生を救って下さるありがたい仏様だ。「阿弥陀仏に南無する」、つまる阿弥陀仏に帰依する、全てを任せますという意味で恐怖とは無縁のありがたい言葉なのである。

有名なお経といえば「般若心経」だろう。自分も世界もすべては「無」であると説くもので、意味を紐解けば怪談どころか、難解な哲学書に近いことがわかる。最新の量子力学の結びつける人さえいる。般若心経を読むとは例えるなら「人間の認識能力は直観と悟性から成り立っており、直観には先験的直観による超越論的実体の認識における~云々」などという小難しい講義を読むのと同じことであるはずなのだ。それにも関わらず、深夜にどこからか般若心経が聞こえてくれば、やはり恐ろしくなるという人がほとんどだろう。知識や理屈で本来のお経を理解している人であっても、無意識に刷り込まれたイメージは拭いがたい。

「チャプレンとビハーラ」ーー死にたいするケア

寺社と同じく、病院・病人の現場もまた非日常的空間である。お経がいくら哲学的だ、ありがた言葉だといっても、病院や病人の前で唱えたら批判は免れない。これが讃美歌や神道の祝詞ならば「死」がちらつく現場でもさほどの抵抗は受けないと思われる。教会や神社は結婚や七五三など「ハレ」のイメージがあるからだ。

祝詞はともあれ、讃美歌や聖書の文句を病院・病人の現場で唱えることはある。キリスト教にはチャプレンという人がいて、患者の話を傾聴し、死は終わりではないという教えを説くなど、死の恐怖と向き合う終末期患者の心を安らげる宗教的ケアを施している。

日本においても仏教各派が「ビハーラ」というチャプレンと同様の終末期宗教的ケアを展開している。特に浄土真宗、浄土宗はビハーラ活動に熱心である。これは「浄土」という他世界観が死後の存在を説き、苦痛を和らげる終末期患者へのケアと相性が良いことが挙げられるだろう。禅の深淵な「悟り」は一般人には難しい、苦痛に喘ぐ病者であればなおさらである。

しかし、現状ではビハーラは世間一般には浸透していない。葬式を連想させる僧侶がそのままの姿格好で病人に寄り添うには、他の患者からの抵抗がある。病院に僧侶が出入りし、念仏でも唱えれば周囲から抗議されることは必至だろう。実際にビハーラ僧が病院を訪問する際には、他の患者への影響を考えて、法衣を着ることはなく、私服なりスーツなりである場合が多い。患者にとって僧侶は死を連想させる招かざる客なのだ。

その点、ハレの場と死の現場という二つの非常的空間を往来しているキリスト教はそこまでの拒絶されることはなく、欧米におけるチャプレンはそれなりの地位を確立している。

日常における仏教の再改革

昨今のスピリチュアル、パワースポットブームで寺院が「癒し」の空間として親しまれる面もあり、静かな空間で若い女性がお経を唱える、写経をするなどの風景は珍しくない。しかし、それも寺院が非日常的空間であることから抜けていない。あくまで仏教的モノ=死は日常空間にあってはならないものというイメージは根強く残っている。

医学の発達によって人は中々安らかに死ねなくなった時代である。そうした中でこれからは、チャプレンやビハーラの役割は大きくなると思われ、仏教各派は日常における立ち位置を変革しなくてはならない。

"葬式仏教"は死を「穢れ」として忌み嫌った慣習を突破したところから始まった。その志がまだ残っているなら不可能ではないはずだ。

ライター

渡邉 昇(掲載日:2019/05/28 最終更新日:2020/06/02)

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