私の実家には大きな仏壇があります。
現在は祖父の位牌が立ててあり、この位牌の文字をよく見ると祖父の名前の一文字が戒名に使われています。
そもそもなぜ戒名を付けなければならないのか疑問でした。
人は生まれてきた時に名前を付けてもらいます。せっかく付けてもらっ た名前ですし、その名前で生涯を過ごしている訳ですから位牌だってその名前で記せばよいと思うのです。
ところが、調べてみると戒名は仏弟子になった証みたいなもので、その戒名でないと極楽浄土へ行くことは出来ないというのです。
複雑な思いを覚えました。
なぜなら、これまで共にしてきた自分の名前が失われてしまう気がして・・・。
ただ成仏する事を考え、仏の弟子になる。という事が宗派により決まっている事だとすれば、仕方がないのでしょうね。
お世話になっているお寺では、故人の名前を一文字入れています
祖父が亡くなった時私は中学生で、自宅葬のため忙しくしていたので位牌はよくみていませんでしたが、うっすらと記憶にあるのは、最初は白木の位牌で、いつの間にか黒塗りで金の縁取りが施されている位牌に変わったという事です。
白木の位牌から黒塗りの位牌に変わったのはいつだったのか、気になったので母に訪ねてみました。
先程も述べたように祖父は自宅葬で、通夜・葬儀・火葬という一般的な順序で式が執り行われました。
亡くなってすぐに自宅に祭壇が組まれ、そこには白木の位牌と遺影が掲げられていました。
そして通夜・葬儀・火葬と順に行われ、遺骨を持ち帰り再び祭壇には白木の位牌が掲げられていました。
初七日の法要が終わり忌明けの時に白木の位牌をお寺に渡し、黒塗りの位牌を頂いてきたのですが、どちらの位牌にもお寺のご住職が付けて下さった戒名が記されてあったそうです。
どうやらお世話になっているお寺では、故人の名前の一文字を戒名に入れるようで、祖父の位牌に名前の一文字が入っていたのだとわかりました。そして少し前の事ですが、戒名には故人が生前好きだった物の文字を入れて下さるところもあると聞いていました。例えば、海がとても好きだった方には【海】という文字を入れたり、山が好きだった方には【山】という文字を入れたりすると・・・。
どんな戒名でも皆平等であるなら、亡くなった後の名前について心配する必要はないかもしれません
この事から家族の希望があり、宗派的に問題が無ければ戒名は家族が決める事が出来るのではないか?と思いました。ところが調べてみると、高額な支払をする事になってしまったり、お寺などでトラブルになってしまったりと、とても現実的だとは思えませんでした。
お寺のご住職や宗派によってだとは思いますが、故人の生前について色々と家族に話を聞き、その話を考慮し戒名を付けて下さるところもあるようです。
もし自分がこの世を去ってしまった時、新しい名前(戒名)を頂くとしたら・・・と考えると付けてもらいたい文字や名前はたくさんありますが、その意思を尊重するが為に残された家族が高額な支払をする事になるのであれば、迷わず付けて頂いた名前(戒名)を素直に受け入れると私は思います。
普通に戒名を付けて頂くにしても、その代金は決して安くはありません。どんな戒名でもどんな身分の人でも、仏の世界では皆平等とされています。この事さえわかっていれば、この世を去ったあとの事まで心配する必要はないのかもしれません。