「ボルボにベンツ、いいねえ。」「キャデラックにリムジン、まいったなあ。」有名な海外メーカの車に一度は乗ってみたいものだ。
免許を取ってから数十年の間に乗った車は数知れず。自家用車や営業車、タクシーにレンタカー。たまにはパトカーの後ろにも乗ったという御仁もおられよう。車を選ぶ時のポリシーで、「動けば何でも良い」という人が多いように思う。本心で言っているのか、怖い奥方が言わせているのかは謎である。
廃れてきてはいるが宮型霊柩車を選んだっていい
最近お神輿を担いだような霊柩車を見なくなった。キンキラキンの仏壇を立派にしたようなあれである。見たこと無い人もいるかもしれぬ。さて、お神輿か仏壇かはともかく、そんな霊柩車を見かけなくなって久しい。
今すぐにでも乗りたいとは思わないが、お神輿に乗ってあの世に向かって走るなんて、ちょっとロマンを感じてしまう。ただ、葬儀場の近くに住む人たちの苦情が原因で台数が減り始めたらしい。毎日のように家の前をあのキンピカ霊柩車が通れば、確かに苦情も言いたくなるのかも知れぬ。
霊柩車だけじゃなくとにかくなんでも指定したらいい
霊柩車に多いのは外車の改造車で洋型霊柩車と言われている。黒塗りで人生最期のドライブをすることになった棺の中のお方は何を思うのだろう。
自動車メーカーの元社員だった方は、自社の車一筋で乗り続けて生きてきたのに死んで外車に乗せられてしまい、ご不満かもしれない。つまり残した家族に葬式を丸投げするとそんなことがおこるかもしれない。
これからの時代自分の意思を己の葬式に反映させたらどうだろう。嫌なら「外車の霊柩車は止めてくれ」なんて注文を遺言に書いたらどうだろう。自動車メーカーの関係者が多数参列するのなら、そのメーカーの車を指定しておけば鼻高々で火葬場に向かえる。葬儀会場に流すBGMは、あれが良いとか、弔辞は止めてくれとか、参列者への礼状を事前に原稿で残しておくとか、遺影用の写真を選ぶとか、元気なうちに言い残して置けることはたくさんある。
何も残さず逝ってしまった場合は故人を忖度するべき?
高齢者だと己の葬儀に何ら注文をすることもできず逝ってしまうのかもしれない。遺族には故人の思いを忖度して送って欲しいものだ。祭りが大好きだった人の出棺時に北島三郎の「祭り」を流してあげよう。古いものが好きだった人なら、キンピカの霊柩車を探し出してきて乗せてあげようではないか。「我が家だけの」特徴のある葬式で故人を送って上げたら良いのではないか。もしかしたら、故人が棺の中で苦笑いをしているかもしれないが。