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息を引き取るその瞬間まで粘り強く残る生への執着と拒否され続ける死

臨終に際して行われ死後の極楽往生を願う看病を「臨終行儀」といい、死者の枕頭で仏典を誦して死後の安楽を祈る「枕経」などが行われる。この枕経、現代では通夜の場や火葬場などで誦されることが多い。本来は死者ではなく、 旅立とうとする人に死後の案内を講義するものであり、死者に誦するのは本来の枕経とはいえない。医療と宗教が乖離する現代において枕経=臨終行儀の意義は失われつつある。

息を引き取るその瞬間まで粘り強く残る生への執着と拒否され続ける死

理想の臨終 

80年代後半に人気を博した車田正美の漫画「聖闘士星矢」(少年ジャンプ連載)に、宗教的権威とカリスマをもって人々から敬われる「法皇」なる人物が登場する。この法皇が今まさに死に直面する老人の下を訪れる一幕がある。老人は自らの罪深さ故に地獄へ堕ちるのではないかと恐れおののいていたのだ。法皇は老人に「神はすべてをお許し下さる」と説き、心を救われた老人は眠るように目を閉じた。その口元には笑みさえ浮かび、老人を看取った家族もまた救われたのだった。

この人物は作品における敵方の首領であり、その複雑な人格の一端を示すエピソードに過ぎないが、この短い描写は理想的な臨終の光景であると感じる。

現代の臨終

これに比して現代の臨終とはいかなるものか。一例を挙げれば、病院のベッドの上で点滴やモルヒネを投与され意識は混濁し、臨終の際は医師の心臓マッサージが施され、そして医師による確認を経て臨終が宣言される・・といった所だろうか。

ここには最期まで「死」は存在しない。「死」が訪れるその瞬間まで「死」は拒否される。死を厭い怖れる気持ちは病と闘う勇気を生むだろう。しかし同時にあまりの「生」への執着は返って苦痛に満ちたあげくの最期を迎えることにもつながるように思える。

このような形になったのは科学的世界観による死のタブー化にある。科学は死後の存在を否定する。死とは無であり消滅である。自己消滅の恐怖は死をタブーとした。終末期患者には死を語ることはせず限界まで治療を行う。患者も家族も意思あるうちは最後まで諦めない。現代において死はすべての終わり、敗北なのだから。こうして死にゆく者に枕経を語る行為などは不謹慎極まりないものとなったのである。

海外の一部の国で今もなお残る臨終行儀

一方、チベットをはじめインド領ラダックなどチベット密教が息づく周縁部では今も、臨終の床で「死者の書」(バルド・トドゥル) を読み聞かせる「臨終行儀」が残っている。

「死者の書」は死に臨む者の枕頭で、死の直前から死後四十九日間にわたって語り聞かせる物語である。その内容は具体的で死後の意識の状態から、その先のステージへどう進むかを解説する死のガイドブックといえるものだ。そこでは死は敗北でもすべての終わりでもなく、新たなステージであると説かれている。

日本にもかつては存在した臨終行儀

かつては日本でもこのようだった。日本版「死者の書」というべき恵心僧都源信の「往生要集」には、死後の世界が克明に描かれている。源信は臨終行事集会といえる「二十五三昧会」を主宰し、念仏を行い、死にゆく者の極楽往生を約束した。

また、浄土宗開祖 法然の孫弟子 良忠は、この「往生要集」や東大寺の湛秀による「臨終行儀注記」などを取り入れ、それまでの日本仏教における臨終行儀を集大成した「看病用心鈔(ようじんしょう)」を著した。ここで説かれる臨終行儀の範囲は広く、現在でいうターミナルケアに近い。内容も細かく、病人が臥せっていても拝める位置に仏像を安置し、病人の手と五色の紐で結び、病人が仏様と結ばれている実感を与えるようにする。香を焚き花を飾るなどをして、病人が落ちつかせ、念仏を称えやすい雰囲気を醸し出す。こうした内容が19項目に渡って説かれている。

良忠は、寄り添う看病人は「人生の一大事」である極楽往生に導くため、病人の思いを知り、病床に臥すはじめから命の尽きる終わりまで慈悲の心を注ぐべしと説く。

「看病用心鈔」にせよ「死者の書」にせよ、共通するのは死に行く人の傍らに最期まで寄り添い、現代医療においては認められない「死後」の安心までを説き、安らかな死に導くことである。

「死」を考え始めた現代と現状

死の意味を喪失した現代においても安楽死・尊厳死の議論が高まり死について語る機会が多くなってきた。こうした中、近年仏教各派は浄土真宗の「ビハーラ活動」をはじめ、終末期患者に対する宗教的ターミナルケアを広めようとしている。この流れから一部の僧侶がターミナルケアの専門過程を受講し「臨床宗教師」の資格を取得する制度も確立された。しかし世間の認知度はまだ低い。

僧侶=葬式のイメージは強く、ほとんどの人が病院で最期を迎えるようになっている現代において、宗教者が病院を訪問することは難しい現状だ。まして死を前提とした儀式などを行うことを許す家庭も中々ないだろう。医師はギリギリまで患者を生かそうとし、家族も死を想像することすら拒む。現在日本において枕経は死者への手向けに変貌し、「臨終行事」はそれ自体が歴史的用語となっている。

最後に・・・

当然のことながら我々は死を体験したことはない。死とは常に自分以外の死である。死を恐れるのはそれが謎であるからだ。この謎を解明するのは医療科学では不可能だ。そこから先は「この世ならざるもの」に携わる宗教の領域である。宗教的な死の解釈を医療の現場に導入するわけにはいかないのだろうか。安らかな最期を迎えるために、医療と宗教が互いに限界と役割・領域を認め乖離を埋めることが望まれる。

ライター

渡邉

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