最近冬とはいえ寒い毎日が続く。数十年ぶりという積雪が見られた地域が多くあり温かいものが益々恋しくなるのではないのだろうか?
温かい天蕎麦にお腹にも優しい玉子のおじや、出汁の効いたにゆう麺も捨てがたいが筆者がとりわけ好きなのが熱々のお揚げが入ったきつねうどんだ。このきつねうどん、実は徳島県と埼玉県の一部地域では「通夜振る舞い」として出されている事を最近知った。
通夜振る舞いとは?
通夜振る舞いとはもともと故人の前にご馳走を出して再生を願うという意味がある。また故人との最後の食事をする食い別れの意味や、参列者に食事を振る舞う事で故人の供養にするという意味もあったようだ。
現在では身内や親しかった人と飲食を共にしながら、思い出を語り合い故人を偲ぶ事をもって追悼とするのが一般的だろう。
仏教では忌明けとなる四十九日の精進落としまでは肉や魚を食べる事を控える為、葬儀の時の食事は精進料理が一般的であった。ただ最近では寿司やケータリングの軽食が出されるなど殺生へのこだわりはあまり見受けられない。
一般的には食事と酒が出される所が多いが、お茶だけやお茶に菓子がつく所もある。また通夜振る舞い自体行わない地域もあり、地域により通夜振る舞いの形は様々のようだ。
全国各地の変わった通夜振る舞い
とりわけ珍しいのが前述した徳島県のきつねうどんだ。徳島県の一部地域ではきつねうどんで参列者をもてなすというが何故讃岐うどんで有名な香川県ではなくて隣の徳島県なのか、とても不思議である。徳島県以外でも滋賀県や埼玉県の秩父市でもうどんが出されている。おそらく喪家の手間がかからないからという理由なのだろうが関東の秩父市が蕎麦ではなくうどんだという事には興味を同時に覚える。
宮城県では小豆の一種の白ササゲを入れたもち米を蒸した「白ぶかし」が通夜に振る舞われ、茨城県では餅やおこわ、酒が出される事が一般的だ。群馬県では「清め」として刺身を出す習慣があり、殺生戒に対する土地の人の意識に隔たりを感じる。他にも愛知県では近親者が通夜に「淋し見舞い」として寿司やまんじゅうを持ち寄り、これを慰問客に振る舞う。九州でいうと通夜振る舞いを「別れの膳」と呼ぶ大分県では近親者のみで会食をし、佐賀県では「出立ちの膳」を身内だけで食べる。
ざっと見ていくだけでも実に多種多様だ。
全国各地で多種多様な通夜振る舞い
紹介した通夜振る舞いはほんの一部で日本全国多種多様な通夜振る舞いの様式がある。皆さんの地域ではどのような風習があるだろうか。同じ都道府県でも町が一つ違えば風習も変わる場合がある為、皆さんも地元を調べて見ると面白いかもしれない。