カレンダーや手帳に印字されている「仏滅」「大安」などの区分に、冠婚葬祭の日取りは左右されることが多い。
人類が月へ行ってから半世紀近くが経ち、インターネットで世界中の情報を瞬時にして検索できるようになっても、日本人の我々にとって、まだ気になるのが“お日柄”ということである。
六曜の一つである友引
仏滅、大安などは1カ月30日を6種の吉凶日にわけた呼ぶものを「六曜」という。旧暦の元旦を先勝(せんしょう/せんかち/さきがち)として、友引、先負(せんぶ/さきまけ/せんまけ)、仏滅、大安、赤口(しゃっく/しゃっこう)の6パターンが繰り返される。
諸葛孔明が発案した、あるいは、阿部晴明が日本に伝えた等々おもしろい説もあるが、江戸時代にそれぞれの日の解釈が広まったようだ。
先勝:午前が吉で午後が凶。先んずれば勝つ日ということ。
先負:先勝の逆で、午後が吉で午前が凶。勝負事は避けたほうが無難な日。
大安:めでたい日、何をやっても成功する日。吉日。
赤口:正午だけ吉の日。火事や刃物に気をつける日。
仏滅:大安の逆。凶の日。
当たりはずれに関することが多く、賭け事をする人に向けたゲン担ぎのようにも聞こえるが、まぁ迷信であることは間違いない。
友引での葬儀は「友を引く、友を道連れにする」という迷信が残っている
そして、友引であるが、これは「勝負事は引き分けになる日。朝夕は吉で昼が凶」となっている。その字面から、結婚式はいいが、葬式は避けたほうがいいと言われている。もちろん俗説であるが、地域によっては、友引=葬儀場の定休日というところが多数ある。
となると、諸事情で友引の日に葬式があたる、あるいは友引からどうしてもずらせないという場合も出てくるだろう。
友引での葬儀に身代わりとなってくれるのが友引人形
筆者は友引の葬式に参列したことがある。師走のかなり押し迫ったころで、この日をはずすともう来年にずれ込むというタイミングだった。筆者は気づきもしなかったが、一緒に参列した知人から友引であることを囁かれた。喪主側で、日が選べるときは暦を考えてもよいかと思いますが、参列する側だったら、言い伝えを案じても仕方のないことだ。
ということで、友引の葬式には、「友引人形」を使うことがある。
柩の中に人形を入れてあげれば、俗説への心配も無用ということで、斎場や葬儀社によっては人形を用意してくれる。それはこけしであったり、布製の奴さん風だったり、木彫りの仏様、あるいは素朴な土人形など、いろいろあるようだ。
俗説で迷信にも関わらず、どこか気になってしまうため、このような葬儀慣習が残ったのだと思われるが、いかにも日本的でおもしろいと言わざるを得ないだろう。