訃報というのは当然ながらいつも突然です。
闘病されていたり、ご高齢の方でも、いつ逝かれるかというところまでは予想できません。
しかし、私たちの生活の多くは予定で埋め尽くされています。
今回は訃報を受けて予定をキャンセルせざる得なくなった場合について考えていきます。
つまり、ドタキャンする側、される側の両方の立場です。
計画時にキャンセルに伴うリスクも決めておくこと
まず、その友人から訃報を受けて、前日や当日にキャンセルの連絡が来ると思います。
どんな気持ちがするでしょう。
亡くなった方をご存じでない限り、悼む気持ちはあっても、正直、悲しみを持つことはないと思います。
「ご愁傷様です」という気持ちと同時に「旅行はどうしようか」とか「コンサートのチケット、どうしようか」など、その友人と一緒に予定していたイベントが気になるのも否めない事実だと思います。
私も、友達数人と旅行を計画して、出発の朝、祖母の訃報でキャンセルせざる得なかったことがあります。
友人に電話で伝えると、「後は全部引き受けるから、大丈夫。おばあちゃんの側に行ってきて」と温かい言葉をもらいました。
キャンセルに伴う連絡、手続きはすべて友人がやってくれ、宿泊施設へのキャンセル料も立て替えてもらいました。
本来なら自分ですべきところをやってもらい、結果として、祖母の死にしっかり向き合うことができました。ありがたかったです。
反対の立場も経験したことがあります。
やはり約束の朝、友人の父親が亡くなったとのことで、欠席の連絡がありました。
もちろん、お悔やみの言葉と共に、辛い中連絡をくれたことに感謝して、キャンセルの手続きはこちらで代行しました。
誰にでも死は訪れます。
自分の身近な死だけではなく、こういった間接的な死も、誰にでも起こりうることです。だからこそ、いたわる心を持った者同士としてつきあっていきたいものです。
友人や職場で旅行やイベントの計画を立てたときには、キャンセルした場合の支払いや処理などについても、事前に決めておくといいかもしれませんね。
また、こうした訃報などによるキャンセル料は、受ける側が立て替える場合がほとんどですが、事が事なだけに請求しづらいものです。キャンセルした側は気を利かせて支払いを申し出るのがスマートでしょう。お金のことはきっちりとしていくことがポイントです。
とっさの受け答え
さて訃報の連絡があった場合、どのような受け答えをしたらよいでしょう。
突然のことなので、とっさにうまい言葉なんて出てきませんよね。
「それは・・・」と絶句してしまい、次になんと言っていいのかわからないことも多々あるのではないでしょうか。
そんなときはまず、「それは、まことにご愁傷様です」と言う慣習があります。急な訃報に迷うことがないように、先人は便利な言葉を残してくれています。
「愁(しゅう)」とは「愁(うれ)える」とも読み、悲しく思う、「愁傷」となると「(心の)傷を愁える」ことで、「気の毒に思う」という意味です。
さらに、「御~様」という言い方は、頭と末尾にそれぞれ敬意を表す語がついており、本来は最上級の敬意を表す意味がありました。それが近世以降、ねぎらいや気遣いを表すようになったそうです。身内を失った人に対するお悔やみの語としてふさわしい言葉だと言えます。また、「お悔やみ申し上げます」も適切です。
とっさのことで言葉を失ってしまったら、それもまた正直に伝えましょう。「すみません、なんと申し上げてよいか分かりませんが」という言葉もおなじみです。大切なのはいたわる心です。