日ポストを開けると、マンションや戸建て住宅の分譲案内チラシに混じって、お墓や霊園の広告が必ず何枚か入っています。それらを見ると“終活”というはやりのことばが頭に浮かびます。
入るお墓のない人が沢山いらっしゃいます
骨になったら先祖代々の墓に入るという方々もいらっしゃるでしょうが、入るお墓のない人たちも多いと思います。
東京出身者の4割は地方に故郷がないそうですが、故郷があっても家や墓を継がないという方もいるでしょうし、長男長女ではない、実家とは縁が切れている、離婚した……等々、さまざまなパターンが考えられます。
墓がない方々、墓を継がない方々は、生きている間に、死後の棲家をどうするか考えておかねばならぬようです。
高倍率の公営墓地
今お住まいの近場に、墓地や霊園のいいものがあって、そこに入れれば一番いいのでしょうが、そう簡単にいかないだろうことは想像に難くありません。
アパートやマンションなら、気に入らなければ引っ越すという手だてもありますが、永眠する場所となると、一度決めてしまったあとは自分での移動もままなりません。
墓地や霊園の立地、周辺環境のほかに、管理や供養はどうなっているのかもチェックポイントです。
寺院墓地だと宗旨・宗派を考えねばならないでしょう。民営企業が運営する墓地だと、その会社の経営は盤石なのかどうか、経営方針が変わるようなことはないのかなど、先々のどうしようもないことも気になります。
自治体が運営する公営墓地だと申し込みにあたり規定が厳しい上に、倍率が高いというハードルがあるようですね。
散骨も選択肢の1つです
散骨という葬送方法が知られるようになって久しいですが、すべてを散骨してしまうのではなく、骨の一部はお墓に入れるという弔い方もあるようですね。また、散骨をして、墓はなくても、仏壇を飾って供養をするという方法もあるようです。
散骨葬に立ち会ったことがありますが、ガイドやしきたりなどもなく、仲間うちだけの自由なもので、あっけない印象を抱きました。このあっけなさを喜ぶ人もいるでしょうが、セレモニーとして物足りなく感じる人もいるかもしれません。私が立ち会ったものは、仲間が集まって酒を飲みながら、海に遺骨をまくというものでしたが、散骨がうまくいったとは言い難い状況でした。
映画『マディソン郡の橋』のように、白い骨粉を風に乗って美しく撒くということは、風向き等をきちんとチェックして、あらかじめテストしておかないと無理ということです。何事も、行き当たりばったりでは難しいようです……。
ポストに入った霊園のチラシを、よく見もせずに捨てている私ですが、既存の墓に入るか、新たに墓を買うか、あるいはその他の方法にするか……自分もどれかを選ぶ日が必ず来るのかと思うと「我が運命はいかに?」という気がしてきますね。