私の母は父と随分前に離婚しました。私は母と都内で一緒に暮らしていますが、父は長い間、千葉県の松戸市で一人きりの生活を送っていました。父は今年で85歳です。
ところが、父は今年の1月から認知症を患っていました。
私と兄がその事実を知ったのは、4月の初頭です。兄と私とで相談した結果、父の介護を自分たちでするには、距離的にも現実的ではないことから、介護施設に預けることになりました。
父が所有する残債1000万以上のマンションをどうするか
問題は父が住んでいるマンションです。まだ、ローンが一千万円以上残っているからです。
父はローンの返済に自分の年金をあてがっていますが、実際の年金の収入は毎月14万円ほどで、返済は毎月9万円です。いずれにしても父が存命中にマンションのローンを全て支払う能力は無かったのです。
どういうプランでマンションの購入が出来たのかは、今となっては判りませんが、いずれにしても、私たち家族は負の遺産を背負うことになりました。
どうにかして父のマンションを売却しなければなりません。
そこで、私は兄と相談して、父のマンションの部屋の荷物の廃棄処分を業者さんにまずお願いしました。見積もりも2回取って、安くて済む会社を選びました。廃棄の当日には私が立ち会い、丸一日掛かりで、何とか父のマンションの中の荷物は全て処分することが出来ました。
判断能力が乏しい父に成年後見を活用
次はマンションを賃貸にするにしても、売却するにしても、リフォームが必要になります。
父は18年間、一人きりでのマンション生活を送っていたため、掃除なども行き届いてはおらず、壁や床、トイレ、風呂などどうしても修繕しなければならない箇所が多いのです。
私は廃棄処分でお世話になった会社に相談を持ちかけました。すると、リフォームもその会社で手掛けているということでした。すぐにリフォームの担当者と連絡をしました。
そこで思いも寄らなかったのが、成年後見人制度の存在でした。
認知症を患ってしまい、判断能力が個人に無くなってしまった場合は、成年後見人を立てなければならないのです。特に、今回の事案では、マンションを賃貸にするとしても、売却するとしても、まず、本人の同意が必要になるのです。しかし、父は認知症が進んでいるため、本人に判断能力がありません。そこで必要になるのが、成年後見人の存在になる訳です。
成年後見に限らず高齢化社会に備えた法制度の拡充が重要
兄がこの件に関しては進めてくれていたので、私は窮地を脱することが出来ましたが、私はうっかりしていて、制度の存在を忘れていたため、随分と驚きました。
本来は判断能力がわずかでも残っているうちに成年後見人を確保しなければならないのです。
高齢化社会が進み、今後はますますこういった事案が増えてくることは間違いありません。また、廃棄物の処理でお会いした会社の支店長の方も、部屋の荷物の廃棄の仕事自体がどんどん増えてきていて、平日も土日祝日も関係なく仕事があると仰っていました。
また、ニュースなどで孤独死も数多く取り上げられているのが現状ですから、今後は更に法制度の拡充も求められると思います。