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記号化され隠される死 観念としてではなくリアルな死に思いを馳せる

私たちの日常は「死」のほとんどを数値や記号でしか知ることはない。そのひとつひとつに存在したはずの人生。「死」は隠され遠ざけられ、その人生は数値化記号化されてリアリティを失う。

記号化され隠される死 観念としてではなくリアルな死に思いを馳せる

遠ざかった死

社会学者ノルベルト・エリアス(1897〜1990)は、少なくとも中世までは自ら獲物を獲り肉を捌いていたが、「文明化」が進み専門の料理人に委ねられ、肉から「死」は隠蔽されたと指摘した。私たちはステーキを食べるときに屠殺された死体に他ならないことを意識しない。目の前にあるのは長方形の食べ物である。牛の死、それはもちろん熟知している。しかしそれはあくまで知識でしかなく、目の前のステーキに「死」を見出すことはない。それは「死」そのものであるにも関わらず。

文明化とともに死は隠蔽・隔離されている

そのような現代社会において「死」はリアリティを失っている。病院では治癒した者は表玄関から堂々と退院し、死者は裏口からそっと見送られる。当然の配慮である。患者にとって病院は病気を治す場所であり死ぬ場所ではないからだ。病院において死は隠蔽・隔離されている。

特に日本で顕著であるようだが、テレビの報道などで流れる事件事故の映像に遺体は映らない。リアルな死は徹底的に隠される。対して動画サイトなどではリアルな映像が流れる事があり、コメント欄は賛否両論である。マスメディアの報道映像だけでは自然の脅威は伝わっても死者のリアルに接することはできない。だが一方で遺族感情や死者を晒し者にするという面も確かにある。NHKの放送ガイドラインには「事件や事故、災害などでは死者の尊厳や遺族の心情を傷つける遺体の映像は、原則として使用しない」とある。簡単には答えの出ない問題だが、文明が「死」が隠すという事実は認識しておきたい。

記号化される死

コロナ禍の現在は、連日新型コロナの新規感染者の数が公表されるが、死者が1人などだと収束に向かっているとほっとする。しかしその1人は死んでいるのである。彼、彼女にも生のドラマがあったはずだ。生まれた時は祝福され、笑い、泣き、怒り、悩み、喜ぶ。そんな人生というドラマに同じストーリーはない。それを私たちは「1人」で済ませてしまう。

死は記号ではない

いわゆる戦闘モノの漫画やアニメには理不尽に命を奪われる脇役が大勢いる。彼らの命は実に軽い。同情し難い悪の手先ならまだしも、例えば、主人公が敵地に潜入する際に仕留められる門番などは、敵方とはいえ単なる職務である。彼らにも名前があり故郷があり親があり友がありドラマがあったはずだ。しかし彼らに語るに足る人生はない。彼らの存在は物語を構成する単なる記号である。

私たちにとって彼らは、日々ニュースに流れる事件、事故、災害、戦争などで命を落とした人たちと同じである。私たちは映像から削られ、数値化された人命に対して鈍感になりすぎてはいないだろうか。リアルな命を物語の脇役に落とし込めていないだろうか。もちろんそのような想像をしていてはきりがないが、死の記号・数値化が死者からリアルな体温を奪っていることは心に留めておくべきだろう。

リアルを見ない指導者

2022年2月24日、ロシア・プーチン大統領はウクライナ共和国に宣戦布告を行い侵攻を開始した。ロシアとウクライナの歴史は根深いものがあり、軽率な論評は控えるべきだろう。その上でどのような歴史があろうと、宣戦布告とは大量殺人命令に他ならない。大統領は攻撃目標は軍事施設に限るなどと言っているが、実際にそんなことは不可能であり多くの民間人が犠牲になっている。大統領府の快適な椅子に座っている者に死者の姿は映らない。戦争で傷つき死ぬのは兵士と民間人である。

ロシア正教会 モスクワ総主教 キリル1世はロシア軍の兵士に「選ばれた道の正しさについて疑いを持ってはならない」と鼓舞した。元々プーチンとつながりのある人物だが、ソ連時代の宗教弾圧を生き抜いた世代に属する彼にとっても「死」はリアルではないのだろうか。

旧ソビエト連邦を初め社会主義国家を生んだマルクス主義の根幹にはヘーゲル哲学がある。ヘーゲルは「歴史」「市民」といった抽象的観念的な姿で人間を捉えた。実存主義の祖・キルケゴールは、個の実存を無視したヘーゲルの観念論を批判した。キルケゴールは笑い、泣き、怒り、悩み、喜ぶ個人のリアルな存在に着目したのである。現代ロシアの聖俗両指導者はそのリアルを見失っているように思える。

記号の奥の「人生」に思いを馳せる

エリアスの言うように文明が死を隠蔽するのは確かであるようだ。それに甘んじて、観念ではなくリアルな「死」について思考しないことは、ロシアの指導者のように命を軽んじることになるのではないか。臨終の現場や葬儀など、私たちが死と向き合う場面は限られている。記号化された死亡の報道などに際して、その人にもその人の人生があったのだと、思いを馳せる瞬間を時々でも持たれたい。

参考資料

■ノルベルト・エリアス著/赤井慧爾・中村元保・吉田正勝訳「文明化の過程・上 〈改装版〉: ヨーロッパ上流階層の風俗の変遷」法政大学出版局(2010)
■安倍宏行「震災10年 放送されぬ『遺体』」japan-indepth 2021年3月24日配信
NHK放送ガイドライン2020(pdfファイルの可)

ライター

渡邉昇(掲載日:2022/03/10)

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