先日お寺を参拝した時に、僧侶が境内を掃いている姿を拝見し、しみじみと秋だなぁと感じた。最近ではブロラーで落ち葉を集めているところをよく見かけるので、箒のサッサッサッと落ち葉のカサカサカサの音がまた風情を感じるものである。ただ、落ち葉というのは木に葉がある限り掃いても掃いてもキリがない。綺麗になったと思えば、振り返るとまた落ち葉が。これこそ無情なのか、と思ったりもした。
掃除の修行を何十年も続け悟りの境地に至った周利槃特(しゅり・はんどく)
私は、面倒に感じる掃除をする際に以下の話をよく思い出し、自分を鼓舞させる。
「バカボン」のレレレのおじさんは片時も箒を持って掃いている。そのモデルになったのが周利槃特(しゅり・はんどく)。彼は、仏陀のお弟子さんお一人であるが、時々自分の名前をも忘れてしまうくらい、頭が悪かったそうだ。他の弟子に馬鹿にされ、自信をなくして仏陀に弟子を辞める旨を相談したところ、仏陀は箒を1本渡し「塵を払い、垢を除かん」と唱えながら掃除をする修行を勧められた。周利槃特は修行をうん十年も続ける事で阿羅漢という最高の悟りを開いた称号を得た。
落ち葉掃除に置き換えると、掃いても掃いても完璧に綺麗にはならない。ただ、落ち葉を恨む気持ちがそもそも汚れているのである。「塵を払い、垢を除かん」と掃き続ける事で心身の汚れも常に拭う事で悟りの境地に近づくのであろう。
落葉樹 なぜ葉が落ちるのか
なぜ、葉が落ちるのか。それは日照時間が短くなる冬に備えて、葉の養分を枝や幹に移動し、さらには葉へ栄養を供給していたものは冬の間だけ停止させるための、植物の生き残りの術だそうだ。
落ち葉の代表 銀杏・イチョウ
イチョウは寺社に植えられている事が多いのには理由がある。理由としてイチョウは育てやすく丈夫である事、また、高さが10mを有に超える事から建物のシンボルになり易い。また大きな理由として昔は木造の建物が多く、火事が恐れられていた。イチョウの木は水分を多く含んでいるため、燃えにくい樹木とされている。燃えにくい樹木を境内に植える事で建物に火事が起こりませんように、と願をかけていたそうだ。
銀杏の花言葉を調べてみると長寿・荘厳・鎮魂とされ、樹木が丈夫で長生きする事と、食べ物としても親しまれ、長く人に愛されていること。鎮魂としてはお墓の近くにも植えられている事と、水分を多く含んでおり、火がついても燃え切らない事からきている。
イチョウのしおり
落ち葉でほっこりする話を聞いた。古本屋で本を買うと時々、黄色いイチョウの葉がはさまっているのだとか。落ち葉をしおりにするなんてなんてロマンチックなのだろうと思ったが、そこには更なる理由があるらしい。イチョウの葉には防虫効果があるのだとか。しおり兼、本を虫から長年守る意味が込められているようだ。