新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ステイホームが推奨されてからかなりの月日が経った今日この頃。生活習慣を改めて見直すという健康ムーブメントが起きているように映る。今年流行るかもしれない食材に大豆ミートが入っていた。あれ?大豆は、昔から肉の代用として精進料理として使われてきた印象がある。そこで大豆ミートを仏教から考えてみた。
大豆ミートの役割とは
大豆ミートは菜食主義者がお肉の代用として食感や食べ応えを似せて満足を得る食材である。2010年頃には大豆を使用したパテを挟んだベジタリアン用ハンバーガーは広く世界で食べられるようになった。タンパク源は体を作る三大栄養素の一つで、摂るに足らない栄養である。大豆にはそのタンパクが豊富であり、さらに油分を含んでいるため肉に匹敵する栄養を備えているのである。
仏教においての大豆
仏教において殺生を禁ずる教えがある。だが僧侶は厳しい修行を乗り越えるためタンパクという栄養は必須である。そのためか、動物の殺生を禁じる大乗仏教を推奨する国、中国や韓国、日本などでは大豆の料理が発展したと言われているようだ。というのも小乗仏教では托鉢の文化があり、お布施としていただいたものは全て頂くという文化である。そのため選りすぐりできないのが実情であろう。
精進料理
精進料理の生まれは大乗仏教の教えを汲んでいる中国であり、曹洞宗の開祖道元が宋に仏教を学びに行った時に、禅宗と共に日本に持ち帰って、確立した修行の一つとされている。そう、精進料理は「僧侶が修行に精進するための食事」という意味である。
なぜ肉を食べないのか
仏教に置いて、三通りの殺し方に対する殺生罪とうものがある。一つ目は「自殺」と言われる罪で、普段耳にする自死ではなく、自分の手で生き物を殺す事。食すために殺す事は然り、蚊やゴキブリなどの虫を殺す事も含まれる。
二つ目は「他殺」という罪で、他の人にお願いをして生き物を殺させる事。普段生活していて、すでに食肉として加工されたものを手にしているが、これが他殺という事である。
最後の罪は「随喜同業(ずいきどうごう)」という罪で、生き物を殺している様子を見て楽しむ罪である。穢らわしく、そんな事で楽しみ人がいるのか、と思われるかもしれない。だが、美味しさに舌鼓する事も含まれる。
お釈迦様は、万物を平等としており、人間だけが他の生き物を殺して楽しむという事を罪としている。その教えから、仏教では肉食を疎まれている。でも、やはり肉は美味しいし、恋しくなるだろうなぁ。そんな時に大豆が役立ったのかもしれない。
高野豆腐 がんもどき
高野山で小僧さんが、寒い冬の夜に豆腐を外に落としてしまい、翌朝にその豆腐を見たら凍っており、試しに食べてみたところ思いの外美味しかった、という話が残っている。
がんもどきは江戸時代より現代も愛されている食べ物であり、精進料理の一つとしても重宝されている。名前の由来は味が雁の肉に似ているというところから、雁の肉もどき、「がんもどき」になったとか。
精進料理に欠かせない大豆料理
精進料理に置いて欠かす事のできない大豆は、いつの時代も料理に工夫を凝らしていたのであろう。レパートリーは豆腐、おからから湯葉、豆乳と数知れず。現代では大豆ミートとしてまたクローズアップされつつあり、常に発展しており、これはこれからも続いていくように思われる。