2020年の大相撲秋場所。自分の生まれた干支を四股名に取り入れた翔猿関が、新入幕ながら優勝争いに絡む大活躍を見せ、大いに場所を盛り上げた。まるで、干支の猿が守本尊として、関取の背中を押してくれていたようだ。干支による守り本尊と、それを祀る寺院について考えてみたい。
生まれ年で決まる守本尊
守本尊は私たちの生まれ年・干支によって決められており、仏教と中国の易学が一つになった考え方によるものだ。
子年生まれ(ねずみ):千手観音
丑寅年生まれ(牛 虎):虚空蔵菩薩
卯年生まれ(うさぎ):文殊菩薩
辰巳年生まれ(龍 蛇):普賢菩薩
午年生まれ(馬):勢至菩薩
未申年生まれ(羊 猿):大日如来
酉年生まれ(鳥):不動明王
戌亥年生まれ(犬 猪):阿弥陀如来
2021年の干支・丑年 丑年の守本尊は?
寺社仏閣巡りをするなら、自分の守本尊に縁のある寺院を訪ねるというのも楽しい。
来年2021年の干支は丑年。丑年の守本尊である虚空蔵菩薩の寺はあまり多くない。有名なところは日本三体虚空蔵尊と呼ばれている3つの寺院で、村松山虚空蔵堂(茨城県那珂郡東海村)、朝熊岳金剛證寺(三重県伊勢市)、霊巌山圓蔵寺(福島県河沼郡柳津町)。東京都世田谷区にある大空閣寺もその一つだ。
酉年におすすめの寺院
毎年多くの初詣客や節分会で賑わう成田山新勝寺の御本尊は不動明王だ。酉年の人はこの「お不動様」に守られていることになる。都内にも目黒不動尊(泰叡山瀧泉寺)や高幡不動尊(高幡山金剛寺)があり、馴染み深い。
子年におすすめの寺院
京都の観光スポットとしても人気の三十三間堂(蓮華王院本堂)と、清水寺(音羽山)のご本尊は千手観音。こちらは子年生まれの守本尊となる。
戌亥年におすすめの寺院
戌亥年の守本尊である阿弥陀如来が御本尊の寺院は多い。京都なら平等院、東本願寺、西本願寺、知恩院など、有名な寺院が阿弥陀如来を祀っている。
未申年におすすめの寺院
大日如来は未申年生まれの人の守本尊。断崖絶壁に建立され、いまだにどのように建てられたか謎の「投入堂」で有名な三佛寺は三つの仏(阿弥陀如来・釈迦如来・大日如来)を祀る。根来寺(和歌山県岩出市)や金剛寺(大阪府河内長野市)の御本尊も大日如来だ。
卯年におすすめの寺院
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざで知られ、知恵を司どる文殊菩薩。卯年生まれの受験生は文殊様をお参りしたいところだ。ちなみに、日本三文殊は、安倍文殊院(奈良県桜井市)、智恩寺(京都府宮津市)、大聖寺(山形県東置賜郡高畠町)と言われている。
午年におすすめの寺院
午年の守本尊である勢至菩薩は阿弥陀三尊の脇侍であり、単独で祀っている寺院は少ない。二十三夜寺(埼玉県秩父郡皆野町)は数少ないその内の一つだ。
辰巳年におすすめの寺院
辰巳年の守本尊・普賢菩薩で有名なのは岩船寺(京都府木津川市)。紫陽花などの花々が美しい寺としても知られている。