葬儀コラム
TOP 葬儀コラム 火葬場や児童相談所、障害者施設への建設反対運動から考える不寛容の正体

火葬場や児童相談所、障害者施設への建設反対運動から考える不寛容の正体

火葬場、ゴミ処理場、児童相談所、障害者施設などの建設反対運動。子供たちが遊ぶ声や除夜の鐘がうるさいなどのクレームなど、社会全体が自分本位で不寛容になってきていることを考えさせられる報道が目立つように思う。今の自分の生活さえ良ければいいというエゴイズムの根底には生と死の分離にあると考える。

火葬場や児童相談所、障害者施設への建設反対運動から考える不寛容の正体

うちの裏庭にはやめてくれ NIMBY

2019年2月、東京都町田市で知的障害や精神障害のある人が暮らすグループホームの建設が始まると激しい反対運動が起きた。運営会社の担当者は住民らは「土地が汚れる」「犯罪者を住ませるのか」など「聞くに堪えない言葉ばかりで、理解を得るのは無理だと思った」と振り返る(朝日新聞デジタル(有料記事) 2020年1月9日より抜粋)。

2018年にも南青山で児童相談所の設立をめぐり騒動があった。表現は様々だが結局は自分たちは社会の底辺に生きる人たちと関わりを持ちたくないということである。
こうした建設反対運動の対象として昔からしばしば挙げられたのが火葬場・斎場、ゴミ処理場である。これに最近は保育園や児童相談所、障害者施設なども加えられたようだ。彼らは施設の公共的な必要性は認めつつ「なぜこんな住宅地の中心に建てるのか」という。これも本音は「なぜ我々の生活圏に建てるのか」と言いたいわけである。こうした態度は近年では「NIMBY」正確には「NIMBY症候群」と呼ぶ。NIMBYは、"Not In My Back Yard"(うちの裏庭にはやめてくれ)の略語である。

不寛容を生み出す一つの原因は高齢化社会にある

社会学者 大澤真幸はNIMBYが増える原因は高齢化社会にあると指摘する。残りの人生がわずかな人にとっては、施設の恩恵を受けることは少ない。例えば保育園ができたところで自分とは関わりはなく、そうなると子供の遊ぶ声など雑音以外のなにものでもないということだ。

死んだら無関係、今が大事という感覚が強すぎる

これを前段として大澤はカントの人間学を参考に、本来人間は「死後の生」「ヴァーチャルな生」を生きていると分析した。人間は誰しも仕事にしろ趣味にしろ、自分に利益をもたらし幸福にしてくれることになら努力を惜しまない。一方で、その成果を享受するのが自分ではなく後世の世代であることに対しても粛々と打ち込む面も持っている。これは「死後の生」、自分の死後も続く「ヴァーチャルな生」を生きているからだとする。多くの人間はオカルト的な死後の世界などとは別の意味で、漠然と「死後の生」を想定した「ヴァーチャルな生」を生きており「自分が存在しない世界」に自分を置いている。死んでも世界は終わらない。だからこそ後世の世代のために価値を見出せるのである。大澤はこの感覚が現代の日本人からなくなってきていると指摘した。

墓や葬式なんてどうでもいいという人たちに共通する死んだら終わりという感覚

墓や葬式に無関心な人は自分が死んだ後のことなどどうでもいいという考えがあるようだ。確かに理屈では自分がいない世界を考えても意味はない。どんな墓を建てようとどんな葬式をしようと、死んでいる自分は全く関わっていないのだから。しかしほとんどの人間は自分が死んだ後のことを漠然と考えるものである。自分の死体をゴミ箱に捨てるのと墓に葬るの2択を迫られてて前者を選ぶ者は少ないだろう。大澤の指摘通り、我々は「自分が死んだ後の世界」という意味での死後の世界を意識している。つまりそれは死んでもなお世界と関わり合うという感覚ということだろう。

その感覚がなくなりつつあるということは、世界との関わりがなくなるということだ。自分が死んだ後のことなどどうでもいい。今、生きている自分の生活だけが大切だ。近所の子供の未来、すれ違う障害者の生活、死んで「モノ」になった死体の処理。いずれも関わる意味がないものだ。かくして自分に無関係(だと思いこんでいる)な存在への不寛容が生まれる。

分離されすぎている生と死。死んでも終わりではない。

なぜ感覚を失うのか。現代の日本では死が切り離され、生と死が分離してしまったからではないだろうか。人間はいつかは死ぬ。だからこそ宗教が生まれ、神話が語られ、死者を弔い神仏を崇め祭りを行う神社仏閣が共同体の核になった。しかし現代の科学主義は非科学的な世界を否定し、生と死を分離した。死はすべての終わりであると科学に宣告された現代人はギリギリまで自分の生に執着するしかなく、死は敗北であり忌み嫌われるものになったのだ。

特定の地域を攻撃することになるので詳細は伏せるが、火葬場建設について「薄気味悪い」などとする声もあった。自分いつかもそこで家族と最後の別れを交わすという感覚がなく、死は薄気味悪いものになっているようである。核家族化の影響で、ある世代からは子供たちが葬儀や法事など、死に接する機会が少なくなった。これからの世代はさらにその傾向が強くなり生と死の分離は加速するだろう。そして、「死後の生」の感覚もなくなり、今の自分の生活だけしか考えない利己的な不寛容の時代が到来しつつある。

「死」を取り戻す

自分だけの世界から外に目を向けてもらいたい。子供たちはかつての自分である。社会的弱者はそうであったかもしれず、これからそうなるかもしれない自分である。旅立つ人はいつか必ずそうなる自分の姿である。子供たちの健やかなる成長を見守り、社会的弱者を支え、旅立つ人を見送り弔うのが我々の務めである。そんな社会と関わり合う常識の根底にあるのが生とと共にある「死」であった。自分の「裏庭」しか見ていない「裏庭」さえ良ければいいという考えが正しいものとは思えない。我々は分離された「死」を取り戻さなければならないのではないだろうか。

参考資料

■大澤真幸「『NIMBY』はどのように考察されるべきでしょうか」10+1 website

ライター

渡邉 昇

<関連商品>

<併せて読みたい>

8つのご葬儀プラン 追加費用一切なし
(※心に残るシンプル葬除く)

地域の葬儀場を探す 全国3,500ヵ所以上に対応しています

地域の葬儀場を探す

何なりとご相談ください。

どんなささいなこともお気軽にご相談ください。悲しみの中、お客様の何をどうしたら良いか
といった戸惑い・不安や疑問に親身にお応えし、納得とご満足の葬儀へのお手伝いをいたします。

  • 24時間365日受付中
  • 資料請求/お問い合わせ
  • 心に残る家族葬サポートデスク私たちがお手伝いいたします。
  • 資料請求で差上げます! キャッシュバック申請は、アンケートで

選べる多様なお支払い方法

  • 先得割

    1000円の入会費で
    最大7万円お得!

    詳しく
  • 全額返金保証

    請求額がお見積り
    金額を上回った場合
    全額返金します

    詳しく
  • 二回目以降特別割

    2回以上のご利用
    葬儀費用がさらに
    お得に

    詳しく

ご葬儀の実績

  • 143,000
    直葬プラン

    直葬・火葬式を市川市斎場にて執り行いました。追加料金はかかりませんでした。
  • 335,000
    一日葬プラン

    ご家族以外に参列者がいらっしゃらないとのことで、 二日間拘束される通夜葬儀ではなく、一日葬をご提案しましたらご了承いただきました。
  • 495,000
    家族葬プラン

    集会場を利用して町内会の皆さまやご近所の方々をお呼びしてご葬儀を執り行いました。
  • 795,000
    お葬式プラン

    少人数ではありましたが、故人様のお人柄などを考慮し、大ホールの提案をすると、 受けれ入れて頂き、 結果的に贅沢なご葬儀となりました。
葬儀の実績 一覧へ

よく頂く質問

どのタイミングで電話すれば良いですか?

生前にお電話を頂くことによって、いざという時に混乱せずに冷静に対応することが出来ます。 ご不明な点があれば、どんな些細なことでも結構ですので、 いつでもお電話下さい。 相談後、必ずしも私共にご依頼いただく必要はございません。

事前に葬儀の相談をしていなくても万一の場合は依頼可能でしょうか?

もちろんご依頼可能です。 ただ事前に無料資料請求していただいたお客様に配布している7,000円の割引券がございませんので、 事前に無料資料請求されることをお勧めいたします。

長距離の遺体搬送は可能ですか?

可能です。 距離に応じて料金が決まりますので、詳しくはお問合せ下さい。

よく頂く質問 一覧へ

お客様の声

満足度
100%

花束や棺に入れるお花等、追加出来きたら良かったと思いました。

満足度
100%

深夜にも関わらず、ご手配ありがとうございました。

満足度
100%

いいお見送りができました。

満足度
80%

高齢者がきた時、車イスをすすめる等あれば尚良し。

満足度
100%

紹介してくださった葬儀社には本当に感謝しています。ありがとうございました。

満足度
100%

ありがとうございました。

満足度
100%

おまかせして、良かったです。◯◯様とても良かったです。

お客様の声 一覧へ

よく頂く質問

どのタイミングで電話すれば良いですか?

生前にお電話を頂くことによって、いざという時に混乱せずに冷静に対応することが出来ます。 ご不明な点があれば、どんな些細なことでも結構ですので、 いつでもお電話下さい。 相談後、必ずしも私共にご依頼いただく必要はございません。

事前に葬儀の相談をしていなくても万一の場合は依頼可能でしょうか?

もちろんご依頼可能です。 ただ事前に無料資料請求していただいたお客様に配布している7,000円の割引券がございませんので、 事前に無料資料請求されることをお勧めいたします。

長距離の遺体搬送は可能ですか?

可能です。 距離に応じて料金が決まりますので、詳しくはお問合せ下さい。

よく頂く質問 一覧へ

葬儀コラム

様々な角度から、世の中や人生を映し出す、古今の葬儀にまつわる話題を集めました。

コラム
願いを叶える神と試練を与える神 私達はそれでも神に祈り願いを捧げる
コラム
科学時代における「常識と非常識 目に見えるものと見えないもの」
コラム
空海はなぜ今も死なないのか 弘法大師空海の入定伝説と神格化
コラム
夏目漱石にも遺されたデスマスク 故人を偲ぶための遺品 デスマスクとは
葬儀コラム 一覧へ

葬儀に関わる知識と情報

いざという時すぐに役立つ知識から、葬儀や法事一般の理解を深める情報まで、葬儀や法事の全て!

都道府県別葬儀のマナーと習慣 都道府県別
葬儀のマナーと習慣
家族葬における喪主の役割と作法 家族葬における
喪主の役割と作法
参列者としてのマナー 参列者としてのマナー 葬儀 Q&A 葬儀Q&A 葬儀後にするべきこと 葬儀後にすべきこと 葬儀 用語集 葬儀 用語集 葬儀・法事法要に関わる手続き 葬儀・法事法要に関わる
手続き
法事法要 FAQ 法事法要 FAQ 相続と相続税について 相続と相続税について
ま心を込めてDIY葬儀

心に残る家族葬

株式会社メルメクス
資料請求で7,000円お得!
0120-937-353