最近海外にて日本人が事件により亡くなる旨報道されていた。事件に限らず事故や自然災害、遭難等によって海外で亡くなる日本人の数は年間で五百人程度であるとされる。このような場合相続や相続税の手続きはどうなるのだろうか。今回は、海外で親族が亡くなった場合の相続上の手続きについて簡単に解説してみよう。
死亡したという事実はどのように伝わるか
国交の無い幾つかの国家を除いて、日本国外において亡くなった人が当該地の警察当局から日本人であると確認された場合、当該地の日本大使館若しくは日本領事館へその旨の連絡が行き、そこから日本の外務省に連絡された後に外務省から家族へ連絡されることになる。
当該地に向かうが、その渡航費は自費
その後、連絡を受けた家族は当該地にて遺体の引き取りや死亡診断書等発行と言った様々な手続きのため、当該地に渡航しなくてはならない。家族が渡航しなくても国内国外を問わず罰則規定は存在しないのだが、国内にて相続や埋葬のために必要になる死亡届について家族が渡航して手続きをしない限り発行できないため、家族の当該地への渡航はどうしても必要になる。渡航費用についてだが、当面は自費となる。だが、海外旅行保険に加入しているはずなので、保険料にて補填されることになる。詳細は各保険会社に問い合わせてみると良いだろう。
当該地で火葬するか、遺体を日本に搬送するかの二択
家族が渡航した後、当該地にて火葬してから遺骨を国内に持ち帰るか、遺体に防腐処置を施してから国内に持ち帰るという二つの方法がある。発展途上国のような交通の便が悪く高温多湿な環境で亡くなった、また、遺体の損傷が激しかった場合等統計的には当該地にて火葬されることの方が多いようだ。
当該地で火葬する場合の流れと遺骨の持ち帰り方法
手続きの流れだが、現地で火葬し遺骨を持ち帰る方法を挙げてみる。手続きそのものは当該地の日本大使館や領事館の担当者が丁寧に教えて貰えるので、指示に従い手続きをすれば問題無い。
具体的には、当該地の医師によって死亡診断書と死亡届が発行される。更に、その死亡診断書と死亡届を日本語に翻訳した書面も発行して貰う。発行後に日本大使館や領事館に死亡届を提出し、当該地の埋葬許可証と遺体証明書を発行して貰い、現地にて火葬されることになる。
遺骨の運搬だが、日本国内にある医療アシスタンスに依頼すれば、遺体の運搬に関する手続きを全て実行して貰える。
当該地で火葬せず、遺体を日本に搬送する場合
もう一つの方法である遺体を当該地にて火葬しないで遺体を持ち帰る場合の手続きだが、基本は日本大使館や領事館の指示に従えば良い、更に国内法人の医療アシスタンスに一括して依頼すれば全ての手続きを代行して貰えるようだ。但し手数料が百五十万円程度かかるとされるので、慎重に検討する必要があるだろう。
ちなみに日本に帰国したあとは、死亡届と死亡診断書等にそれらを翻訳した書面を添付し、市町村役場に提出すれば諸々の手続きは完了する。
海外でなくなった場合、相続に影響はあるか
相続は、海外で亡くなっていても、結局死亡届を提出した後は通常の相続の手続きと同様だ。しかし、亡くなった人が当該地に所謂「現地妻」を残している場合や、子供が居る場合もあるので要注意だろう。現地妻や子供の国籍によって対応が変わる。詳細は省くが、当該地の法律も絡んでくる可能性もあるため、税理士や弁護士等の専門家に相談しつつ対応すれば良いだろう。