最近、葬儀を実行しない直葬や海上や特定の山林原野にて遺骨を散骨すると言ったような、従来実施されていた葬儀や墓制に捕らわれない葬儀並びに墓制の有り方が注目を集め実施されている。そのような状況で、他人と同じ墓に埋葬される合葬墓、特に県や市町村が運営する公営合葬墓が高い人気で、募集時には定数の数倍の応募があり、直ぐに埋まってしまうほどであるとか。筆者も非常に興味があるため、幾つか調べてみた。今回は、合葬墓について触れてみたい。
合同墓のメリットとは
そもそも合葬とは、他人の遺骨と一緒に埋葬することを言う。更に、当該埋葬地に建立された石塔若しくは碑を合葬墓と呼ぶとされている。管理者や運営団体は寺院や民間葬儀社、地方自治体となっている。
メリットとしては、後継者が居ない等の理由で墓仕舞いを予定している方が代替として利用するか、墓を建立する場合よりもコストが安価である点が挙げられる。
合同墓のデメリットとコストは?
デメリットは、他人の遺骨と混合されてしまうため、遺骨の返還はできないことだ。
気になるコストだが、関東一円の公営合葬墓に限定して調べてみた。現在募集中の公営合葬墓だと、最も安価な場所は東京都内にある霊園で42000円からとなっている。最も高価であっても、同じく東京都内にある霊園で178200円からとなっていて、別個に墓を建立するよりかはコストを抑えることが可能となっている。東北や関西では更に安価になる場合も多く、他県からの応募にも対応して貰えるとのことであった。
永代供養とは「33回忌の法要後に合葬・供養すること」を言う
調べていくうちに少々気になることがあった。それは、永代供養との兼ね合いである。筆者の親戚も、祭祀後継者が居ない故に菩提寺に永代供養を依頼しているのだが、依頼した際に筆者も立会い、永代供養とは具体的に何をするのかを僧侶に質問してみたところ、最終的には遺骨を菩提寺敷地内にある合葬墓に移し、合葬し供養するとのことであり、永代供養とは子々孫々に渡り墓を供養するのではなく、一般的には33回忌までを一つの節目として、供養を続ける墓に付随した役務提供の一種であるとの回答を得た。つまり、人が亡くなり墓に埋葬され、33回忌の法要が営まれた後、状況に応じて遺骨を取り出して合葬簿に埋葬しつつ、他人の遺骨と同時に供養を続けるということだ。どの寺院でも同一か否かは知らないが、寺院の運営と少子高齢化による祭祀後継者の不足を鑑みれば、仕方のない面もあるのかもしれない。因みに永代の意味だが、永遠ではなく当該合葬墓の運営団体が存続する限りと解釈した方が実態に即していると言えるだろう。
最初から合葬するか33回忌後に合葬するかの違いならば…
見方としては、最初から他人と同じ墓に埋葬される合葬と、一定の期間を経過した後に他人と同じ墓に埋葬される個別の墓という違いだけである。つまり結局どちらも最終的には同一であると考えられる。どちらを選ぶかは個人の判断に委ねるが、筆者としてはコストが低く、運営団体がそう簡単には消滅しない公営合葬墓の方が魅力的に感じた。さてみなさんはいかがだろうか。