墓石を建てる際に必ずといってよいほど関係のある宗派について少し記してみようと思います。
仏教は2500年の昔、インド大平原北部の盆地にシャーキャ(釈迦)とよばれる国があり、その国の王子であるゴータマ・シッダールタが王宮を出て修行し、35歳で悟りに達し、以後シャーキャムニブッダ(釈迦牟尼仏)すなわち【シャーキャの聖者であるブッダ】とよばれ80歳で入滅するまで伝道の旅を続けたそうです。
【ブッダ】は【悟った人】という意味で【覚者】といいますが、その他にも【世尊】=【世に尊ばれる者】、【如来】=【悟りの世界から救いに来た者】など、多くの呼びかたがあると言われています。
そして釈迦が入滅した際、遺骨はストゥーパとよばれる塚に納められ、それが天を突く仏塔に発展し、“魂は転生する”と考えられていたインドでは、人々がその塚の前で礼拝し、ブッダは世の父であり、神々をも従える帝王として敬われたという事です。
特に中国や日本に広まった大乗仏教の経典には【ラージャ】=【◯◯王仏】という名の仏がよく出てくるそうですが、そうした釈迦の教えが世に広まっていく過程で、様々な宗派が誕生したそうです。
国内には13の仏教と56の宗派があるそうです
毎年文化庁から【宗教年鑑】という本が出されていて、国に届けられている宗教をまとめたものだそうですが、その中の仏教の項には13宗があり、細かく分けると56派があると書かれているそうです。
そして平成23年版宗教年鑑の寺院数のデータをみると、日本国には約8万ものお寺があり、そのほとんどのお寺は5系統の宗派に属している事がわかったという事です。
この5系統が葬儀や法事をする時にお招きするお坊さんが所属している宗派なのです。
1番寺院数が多いのは浄土系の宗派。この宗派は阿弥陀仏の極楽浄土に生まれる事を教えとする宗派だそうで、よく聞く浄土宗や浄土真宗などがこの系統です。
次に寺院数が多かったのは、禅系。臨済宗や曹洞宗など・・・。
そして次に寺院数が多かったのは、真言宗。高野山真言宗だそうです。
どちらを優先しますか?
先祖代々に渡りこの様な宗派に属されている事が多い為、生まれた時から自分の宗派が決められている場合がほとんどです。
ただ、女性の場合生まれた時は実家の宗派ですが、嫁いだ時には嫁ぎ先の宗派となる事が多いので、人生の中で宗派が変わってしまう事は多いでしょう。
また墓石を建てる際も、もともとの宗派から墓石のお世話をして下さるお寺の宗派に移行される事も少なくはないのです。
こうして考えてみると、自分が属している宗派は先祖代々受け継がれてきているので、とても奥深くかかわっているのですが、これまで受け継がれてきた宗派を自分の代で変えなければならなくなった時、皆さんはどう考え決断するのでしょうか?
遠方にある代々のお墓へはなかなかお参りには行けず、近くのお墓を移そうとした場合によくある話が、同じ宗派のお寺とは限らないという事。この様な時に、皆さんはどうされますか?
遠方では行けないお墓参りも、近くなら度々お参りに行く事が可能な訳です。
ご自分の代以降の事をよくお考えになり決断すべきでしょうが、誰もお参りに行かずお墓を粗末に扱うぐらいなら、いっそ宗派を変えても度々お参りに行く事を私はお勧めしたいです。
先祖代々のお墓を違う場所へ移すという事は法的には可能ですが、届出や書類などの手続きは少し大変なようです。
ですが、ご自分がその手続きを行う事により、次世代以降が常にお墓参りをしてくれるのであればお墓も粗末にはならず、変な話ですが、お墓に眠る方々も淋しくはありませんよね?
墓石を建てる際にも所属している宗派を尊重するのか、お墓を建てる場所を尊重するのかは、よくお考えになって頂けたら良いのではないかと思います。