エンディングノートと聞いて、基本的に紙媒体をイメージする方は多いかも知れない。内容はというと「遺産やその分配、遺言、パソコンのパスワードの通達」などが主なものになる。しかしこれらの項目を埋めても、埋まらない何かを感じる方もいるかもしれない。文字や図だけで伝えられない想いがあるなら、プロのカメラマンを連れて家族旅行など如何だろうか。というのも、エンディングノートは何も文字だけに留まらないからだ。映像や音声を通した想いの伝え方もありうる。
デジタルメディアの魅力
そもそもデジタルメディアには、アナログメディアにはない魅力がある。紙製のノートにはできないことがあるのだ。例えば複製(コピー)などがそれだ。簡単にコピーペーストができて修正も容易、データ化しての送受信もメールを使えば二、三のキー操作だけで可能だ。一方でデメリットがあるのも確かだ。紙製のノートと比べ、消しゴムで消した跡が残らないため、修正箇所が分かりにくい。ちょっとしたアンダーラインなども、その保存されたデータが消えてしまえば一緒に無くなってしまう。また、紙媒体とは違い再生・閲覧するのにモニターやUSBポートなどの電子媒体が必要になる。廉価なものもあるが、本格的な編集作業に耐える環境の構築には、それなりのお値段がかかる。その他にも、保存したデータを家族以外に見られないようにするセキュリティの問題。いずれにしても、媒体選びは自分にあったものを探しつつ、その内容にこそ注意したい。
遺したいのはあなたへの想い
紙媒体だけでなく、電子媒体にも記録を遺す本当の意義は、その内容の多様性にある。映像や音声、画像それらの集合であるスライドショーなど、紙製のノートにはできない多様な伝え方が可能なのだ。手書きの文字だけでは伝わらない想い。それこそが電子メディアが伝えるべき残された家族への何かなのではないだろうか。また、個人で制作するノートと違い、映像を取り込んでのエンディングノートには、制作過程でより多くの人の意見を取り入れ、豊かな想像力を共有する可能性がある。映像のプロに撮影や編集を依頼すれば、日常のちょっとした風景もドラマチックに仕上げ、普段見えていなかった意外な事実に気づくかも知れないからだ。ある意味、人生そのものをエンディングノートに変えてくれる。文字だけだと、どうしても事務的な印象になるが、映像だと感情も伝わりやすい。
エンディングノートとして家族旅行はいかが?
それは普段の生活にも言える。言葉では伝わらないことも、一緒に時間を過ごす体験を通せば伝わるかも知れない。家族との最後の時間を特別なものにするために、どこかへ出かけてみるのもアリだろう。そしてその際、旅行や親戚の集まりをプロのカメラマンに撮影してもらい、映像的な日記として家族内でデータ共有すれば、次の集まりにも活かせる。それらを積み重ねれば膨大な記録となり、見えなかったモノも見えてくる。カメラマンや式場の手配も、インターネットの発展で、より簡単になった。普段から伝わるコミュニケーションを心掛け、マメに顔を合わせ、その記録を取ることが、多様なエンディングノートを生むのかもしれない。