日本では全ての都道府県に店舗があるわけではないので、アメリカに本社があるホールセール・スーパーマーケット「コストコ(COSTCO)」をご存じない方もいるだろう。天井が高く、だだっ広い倉庫のような店舗で展開している商品は、バルク販売(大容量や数パックをひとまとめで売る販売形態)中心の大型店舗である。
コストコを利用するには年会費が必要
国産商品も扱っているが多くはアメリカ製だったり、イタリア産だったりして、日本に居ながらにして外国のスーパーマーケットの雰囲気を、「ちょっぴり」味える場所だ。しかしながら、誰でもふらっと入ってショッピングできるわけではなく、会員制のスーパーで会員になるためには年会費5千円程度を払わなければならない。世界的には、韓国、台湾、日本、オーストラリア、メキシコ、イギリス、アイスランド、スペイン、フランスの9か国に店舗を持つ。
コストコには多様な商品が数多く揃っている
扱う商品も多様で、タイヤ、家具、屋外用の簡易納屋やウッドデッキ、パソコン、デジカメ、液晶テレビやその他の電化製品、玩具、服、調理器具、化粧品、洗剤、食品、酒類や薬までないものはない。種類は多いけれど、それぞれの商品のバラエティーはやや乏しい。例えば、シリアルなどは日本の一般的なスーパーマーケットでは、十数種類の中から選ぶことができるのだが、多くても4-5種類しかない。それでも、育ち盛りの家族が多いご家庭や友人とシェアできる人なら、バルク買いはお得である。
コストコが一昨年から販売を開始した骨壷と棺
コストコ社の企業精神は、すべて「顧客のため」の品ぞろえだそうだ。比較的安価に提供できる商品があれば、提供する努力をするのだという。そのコストコで、一昨年前から販売を開始したのが、骨壺と棺だ。普通、スーパーマーケットでの販売はあり得ない商品だ。これらはアメリカ合衆国とオーストラリアだけの取り扱いなのだが、やはり顧客のための品ぞろえという精神に沿って販売を開始したという。
骨壷の種類や価格帯は?
骨壺は人間用が8種類、犬などのペット用が1種類の展開で、ペット用には4サイズある。
人間用の骨壺は、約1万円から1万7千円の価格帯でアメリカ国旗が彫られ愛国的なイメージのもの、宗教的なもの、ニュートラルなイメージのものといくつかタイプがある。素材も、木彫り、真鍮、錫とスレートと何種類かある。骨壺のデザイン、素材などは多岐にわたっており、数千円から十数万円までと洋の東西を問わずピンからキリまでなのだが、コストコで扱っている商品は、あまたある骨壺の中でもデザイン的にも価格帯的にも非常にリーズナブルである。
棺の種類や価格帯は?
棺は基本的に4商品を展開している。すべて同一価格の$949.99。日本円にして約12万円程度か。面白いのは、そのネーミング。白い棺は「ガーデナー(庭師)のひつぎ」という商品名で、宗教色はなく一般向け。こげ茶のものは「グアダルーぺの聖母のひつぎ」で、棺の蓋の内側と留め金にグアダルーペの聖母のプリントが施されている。これはおそらく、カトリックで、特にメキシコ系やその他のヒスパニック系の人を視野に入れているのだろう。棺の蓋の内側と留め金に、「神の庇護のもとに」という文言と十字架と簡素なイラストが描かれているものは、プロテスタント向けで、商品名も「神の庇護のもとに」である。そして藤色がかったピンク色の棺の商品名は「お母さんの棺」で、蓋の内側と留め金に花があしらわれている。
評価も概ね良好の棺
それぞれの棺は、購入者からの評価がついているのだが、ほとんどが5段階の5をつけている。非常に高評価なのだ。その主な理由の一つが価格であり、普通の葬儀社が提供している価格の6割以下で調達できて、さらに品質の良さを挙げた人もいる。また、真夜中でもネット注文できるのも高評価の要素と述べている人もいる。骨壺と棺の評価をした人だけでも、130人以上いるので、実際にはもっとたくさん購入者はいるのだろう。「またのご利用をお待ちしております。」とは言いにくい商品ではあるが、リピーターがいてもおかしくないかもしれない。ちなみに、棺はバルク買いしなくても良いらしい。