終活を進めて行くに従って、様々な問題に直面するはずだ。その時点で、自分達のみで考えず専門家に相談した方が遥かに効率は良い。当然費用も掛かるが、適切な解決策を明快に提示し、速やかに問題に対処して貰えるのだから、費用対効果を考えれば専門家に相談するのが最善策だろう。
有資格者であっても、実務経験は勿論のこと、経験値が豊富でなければ素人同然
しかし、専門家とは言っても経験が物を言う側面が強く、資格を持っていても経験が皆無の為、実務では全くの役立たずということも充分に有り得る。相続の専門家は税理士だが、税理士も前述の文言に当て嵌まる。
もし、実務経験の無い税理士に相続に関する相談を持ち込めばどうなるだろうか。良心的な税理士ならば、実務経験が無いことを理由に相談そのものを断るか、知り合い(税理士は横の繋がりは強い)の相続に強い税理士を紹介するはずだ。そうではない場合、これはできる限り自分の勘を頼るしかないが、以下に相続に強い税理士か、実務経験が無い弱い税理士を見抜く方法を書いてみる。以下の内容を直接税理士に質問すれば良いだけなので、参考の一助になれば、幸甚である。
(1)「直近2~3年間で、何件相続税・贈与税の申告をしたか」
これは、実務経験そのものを聞くために重要な質問だ。10年前に1件とか、5年前に2件とか言われたならば、その税理士に依頼しないほうが良い。何故ならば、相続税法は毎年改正されているため、昨年税法上可能だった手続きが廃止され、今年から代わりの手続きが施行されることは良くある。状況によっては、脱税とみなされてしまう面もあるため、慎重を期さなければならない。何年も相続税の申告手続きをしていない状況では、知識が不足していて最新の税法をあまり理解していない可能性もあるからだ。勿論全く有りませんと回答したならば、断ったほうが良い。論外となる。
(2)「税理士事務所に所属する税理士は何人いるか」
税理士事務所には、繁忙期がある。年末から翌年の5月末までだ。その期間だと相続以外に所得税や法人税の申告手続きで税理士は多忙を極め、他の手続きに手が回らなくなる。相続専属の税理士が所属する税理士事務所ならば問題ないが、所属税理士が1~2人の場合は、対処できなくなる可能性が高くなるので、要注意だ。
(3)「税理士自身が現場に出向くか」
筆者の経験だが、現場主義という言葉をこれ程実感できたことは無い。相続財産のうち不動産は、実際に目で見て周辺を観察しないと見えてこないものもある。地図と実測の面積が違っていたとか、境界線が間違っていたことは頻繁にあり、現場で見なければ分からない。故に、スタッフに行かせるとか、他の業者に依頼する場合は、避けた方がいいだろう。全ての税理士がそうだとは言わないが、人である以上得手不得手はある。相続に関しては、相続に強い税理士に依頼した方が、遥かに効率的で安心できるだろう。