感動したり、気に入ってしまった小説と出会ったなら、その作品の書き手に興味を抱いてしまうというのは、必然的な読者心理と言えますよね。その著者の他の作品を早速読んでみたり、経歴を調べてみたりといった具合に…。
そんな経験は誰しもお持ちの筈だとは思いますが、それが高じて自分と作家との何かダイレクトに近い繋がりを有してみたいという願望が起こったらどうしましょう。その作家が現役で活躍中なら、サイン会に参加するとか、ファンレターを出すとか、講演会に出向くとか、幾つかの手段が有りそうですが、自分が心酔した作家はもうこの世に居ないというケースも多い筈。
雑司ヶ谷霊園に眠る夏目漱石
そこでお勧めなのがお墓参りです。例えば明治の文豪・夏目漱石のお墓は都内にちゃんと在ります。結構堂々としたものですよ。
この様に、作家のお墓を巡るのが一部の人たちの間で静かなブームを呼んでいるみたいです。墓前に立つ事で、自分と作家との距離感が縮まったとか、作品から感じ取ったものとは違った、作家の熱きメッセージを受け留める事が出来た、などの声が上がっているようです。碑文なども在ったりして、お墓にはその作家の生前の営みが凝縮されているのかも知れませんね。
感動したり、衝撃を受けたりした小説は、何時までも読者の心にその内容の断片を余韻として残すものです。又、一書との出会いが自身の人生を大きく変えたといった例だって少なくないと思います。文字には絶大なる力が有ると言われる所以は、この辺りに在りそうですね。
墓前が醸し出す独特な雰囲気
ともあれ読者が、自分に影響を与えて著者に対して特別な思い入れ抱いてしまうのは、当然の理と言えるでしょう。オリエンテーリングよろしく地図などを片手にあちこち探し歩いて、お墓を発見した時の感激もひとしおだとか・・・。
墓前に立ち、時空を超えて古の作家と何かを共有できる刹那。何だかロマンチックで、それこそメルヒェンの様で素晴らしいですよね。中には国内に飽き足らず、ヘミングウェイなど海外の作家のお墓にまで行ってしまったという方までいらっしゃるとの事ですよ。皆様も如何ですか?