財産を相続した場合、一番気になるのは、相続税の申告の要・不要なのではないだろうか。
殆どの人が、相続財産が相続税の基礎控除額に満たないことが多いので、結果的に申告が不要であるため、何もしていなくてもお咎めなしとなっているのが実情だろう。
知らないだけで損をする、申請しないともらえないという制度
相続財産の評価額が、基礎控除額を少しでも超えてしまった場合には、その超えた額に相続税が課税されるため、当然申告しなければならない。
しかし、何事にも例外というものがある。
結果的に相続税が免税となる相続税法に規定されている、ある特例の規定の適用を申請するために、申告しなければならない場合があるのだ。言い換えると、申告することによって、初めて相続税が免除される特例があるということなのだ。
配偶者の税額軽減は申請しないと適応とはならない
特例とは、配偶者の税額軽減である。
簡単に説明すると、配偶者が相続した財産の評価額が1億6千万を超えなければ、相続税が免除されるという規定だ。余程の資産家でもない限りは、配偶者が相続した場合、相続税が課税されることは殆どないと言ってもいいだろう。
この特例の適用を受ける為には、その条件として相続税の申告が義務付けられている。つまりは、特例の適用を受けさせて下さいと税務署にお願い(申告)することによって、初めて成立する特例なのだ。何もしなければ、この特例の適用を受けることができず、状況によっては、高額な相続税を納付しなければならなくなるかもしれない。あらゆる状況に備えて、税理士と相談してみるといいだろう。
無料相談会が定期的に開催されているし、有料による相談の場合、報酬も30分で5千円位(消費税抜き、大体の相場)でできる。手間暇を惜しんではならない。
ちなみに上記規定以外の特例もある。小規模宅地の特例と広大地の評価の特例だ。配偶者の税額軽減同様に、この二つの特例の適用を受ける条件が、相続税の申告となる。
すべての人に当てはまる終活
人の心理故に困難な面もあるが、ウチは大丈夫だからとして、結果的に相続税が免税となると高を括って、申告そのものをしなかった場合には、当然これらの特例の適用を受けることができない。そればかりか、必ず税務署から申告漏れについて指摘される。こうなってからでは遅い。
これらを回避するには、やはり事前に税理士や弁護士と相談し、相続財産の評価額や、節税の方法とその条件について把握しておくことだ。
終活と一言で言っても、人によって様々である。しかし、こと相続税に関しては、全ての人に関係する。結果的に免税となっているだけであり、誰もが程度の差こそあれ、事前に調査し、学習しておいた方が安心できるのではないだろうか。自身の心の安定と、残された者達に対する安心した終活を目指して欲しい。