「それでは霊安室にお連れしますね…」ーー病院で亡くなると、このように言いながら霊安室に運んでくれる白衣をきた人物がいる。実はこの人物、病院のスタッフではなく、葬儀社であったことをご存知だろうか。
病院と葬儀社は癒着している?!
病院では日々、人が亡くなる。そういった事情があるため、実は、病院と葬儀社はある契約を結んでいる。
それは、病室から霊安室への故人の遺体の移動やケア、病院内の霊安室の管理を行うことと引き換えに、ご遺族に最初の営業が許可されているのだ。
そして葬儀社は、霊安室の管理や遺体の移動などを行っても、一銭の利益にもならない。あくまでもご遺族が、その葬儀社に葬儀を依頼した時点で初めて儲けとなる。そのため、葬儀社は病室から霊安室までの短い時間に何とか口説き落とそうと必死になる。
病院指定の葬儀社は止めたほうが良い!
しかし、病院が指定する葬儀社、一社だけで決定するのはやめたほうが良いだろう。
これには二つの理由がある。
まず死後は冷静な判断ができない可能性が高いからだ。そのため葬儀社の言うままに契約を交わしてしまう可能性がある。
また葬儀社は、場合によっては高い契約金を病院に払っているため、その分が葬儀費用に上乗せされてしまい、高額な葬儀となる傾向が強い。
葬儀の料金トラブルが増加傾向!
今年3月、国民生活センターが葬儀社との料金トラブルが増加傾向にあると発表した。大切な人の死後、憔悴しきった状態で判断を迫られ、冷静に料金や内容について話し合うことができなかったり、そもそも説明自体が理解できないということが、トラブルの原因だという。
同センターでは「生前から、予算も含めて、どんな葬儀を行うか家族で話し合い、依頼する葬儀社をを決めておくことが大切だ」と、注意を呼びかけている。
つまり、病院が指定する葬儀社一社だけでなく、生前から葬儀の見積もりを複数社から貰い、その中から最善な葬儀社を選ぶことが最も賢い選択といえるのではないだろうか。
「まだ生きているのに、亡くなった時のことを考えるのは不謹慎だ」という意見もある。しかし、実際に高額な葬儀によって後悔するのは遺族のみならず、故人も同様ではないだろうか。
電話だけでもいいので他の葬儀社に話を聞いてみることもオススメ
では、もしも生前に葬儀社を検討できていなかった場合はどうすればいいだろうか。
この場合、それを察した病院指定の葬儀社の言動には注意が必要であり、恐らくこのように話してくる可能性がある。
「葬儀については後々お決めになっていただいて全く構いませんので、まずはお時間と共に始まるご遺体の腐敗を抑えるためにドライアイスだけでも当てさせていただけないでしょうか。もちろん、その後にお断りいただいても構いませんからご安心下さい」
ご遺体の腐敗を抑えるための処置が必要なのは言うまでもない。また病院の都合もあり、出来る限り早く病院から安置施設にお連れしないければならないことも確かだ。
しかし、このような状態であっても、病院に少し時間を頂けるように許可をとり、電話だけでも構わないので、他の葬儀社に話を聞いてみることは一つの選択肢だ。また病院指定の葬儀社に予め想定している予算を伝えて、それができるかできないかの結論を迫ってしまってもいいかもしれない。
とにかく一番大事なことは、後悔のない葬儀をあげることである。