相続に関するトラブルにおいて、一番多いのが遺産分割についてである。
二番目に多いのが、相続財産そのものに関するトラブル。
三番目以降もあるが、その中で相続と葬儀に関わってしまうトラブルがある。
今回は、相続と葬儀に関わってしまうトラブルについて綴ってみたい。
口座が凍結されていたため葬儀費用を誰が支払うかで揉めることに
筆者の親戚が亡くなった際に実際にあったことである。
親戚のお爺さんが老衰で亡くなった。100歳を超えていて、特に病気にもならず怪我もなく、大往生であった。
当然、様々な手続きと同時並行で葬儀や相続もしなくてはならない。手続きのうち銀行に対して亡くなった旨の連絡と申請を行った。
葬儀は無事に終わり、葬儀社に支払いをしようとして問題が発覚。
お爺さんの銀行口座から金員を引出し、そのまま支払いをしようとしたところ、口座が凍結されていて金員を引出すことができなかったのだ。
葬儀の参列者達は大慌てで対応したそうで、結局は後日他の親戚が銀行振り込みにて支払うことで決着した。ちなみに筆者は親等が離れていたために葬儀には参列しなかった。
勝手に誰かが引き出せるとなると争いの元になるため銀行は口座を凍結する
銀行は口座名義人の死亡を確認した時点で、即座に当該口座を凍結してしまうのだ。
理由は、口座名義人であるお爺さんが死亡した時点において既に相続財産となるため、相続人の共有財産とみなされるからだ。
更に、相続人達が勝手に金員の引出しを防止する目的があるためだ。
ある相続人が勝手に金員を引出して私用に使い込んでしまった場合、最悪の場合には遺産分割に関する裁判も覚悟しなければならないし、また、相続の手続き上面倒なことになってしまうので、口座の凍結は止むを得ない。
勿論、相続の手続きが全て終了した後、その旨を銀行に申請すれば口座の凍結は解除され、自由に金員の引出しが可能となる。
支払いが発生する関係先の整理と、誰が支払うかを協議しておくことが重要
この問題の対応策としては、葬儀社や病院等の支払いが発生するものと考えられる関係先に対し、予め誰が支払いを行うかを相続人達で協議しておくことだろう。
葬儀費用自体は、相続財産から控除されるので、相続税の計算上有利となる。また、支払額が高額となる場合に備えて、葬儀社の相見積もりを取っておき、事前にシミュレートしておくことも大切だ。
人の死に対して、感情的になってしまうのは避け難い。故に、慌ててしまい様々な手続きそのものを失念したり、手続きの錯誤があったりとトラブルが多発する。
誰もが何時かは死を迎える。生きている内に、残される者達について考えてトラブルを回避する策を練っておくのも重要な終活ではないだろうか。